電力協同組合29社が束になって入札、15年の電力を財閥3系列から買う
KEY POINTS
- ニュースの要点
- ルソンとビサヤの電力協同組合29社が連合体LVECAを組み、共同で競争入札を行って15年の電力供給契約を結びました。契約容量はルソン445メガワット、ビサヤ120.5メガワットで、2027年から始まります。
- この動きの意味
- 1社ずつでは小さい買い手が、需要をひとつの塊にまとめて入札にかけた点が要点です。国家電化庁の入札委員会が共同の競争選定を実施し、供給側にはサンミゲル、アボイティス、ロペス系のエネルギー開発公社、パーム・コンセプシオン電力が並びました。
- 今後の注目点
- 契約単価が公表されるか。2027年の供給開始が予定どおり進むか。同じ方式の共同入札が他地域に広がるか。20年ぶりの高値をつけた卸電力市場との価格差がどうなるか。
ルソンとビサヤの 電力協同組合29社が束になって入札を行い、15年の電力供給契約を結びました。
| 内容 | |
|---|---|
| 参加した協同組合 | 29社(ルソン19社、ビサヤ10社) |
| 契約容量 | ルソン 445メガワット / ビサヤ 120.5メガワット |
| 契約期間 | 15年 |
| 開始 | 2027年 |
参加したのは、ルソン側でアブラ、アウロラ、バタンガス、カガヤン、カマリネス・スール、ラグナ、ラ・ウニオン、ヌエバ・エシハ、ヌエバ・ビスカヤ、パンガシナン、パンパンガ、ケソン、タルラック、サンバレスの各州の組合。ビサヤ側でカピス、セブ、ギマラス、イロイロ、西ネグロス、東ネグロスの組合です。
小さい買い手が、束になった
この件の要点は容量ではありません。買い方です。
電力協同組合は地方の配電を担う組織で、1社ずつの需要は小さい。単独で発電会社と交渉しても、条件は取りにくい。そこで29社が LVECA(ルソン・ビサヤ電力協同組合連合) を組み、需要をひとつの塊にまとめて入札にかけました。
国家電化庁(NEA)の入札委員会が、参加組合の技術作業部会の支援を受けて共同の競争選定を実施しています。NEAのAntonio Mariano Almeda長官は「この取り組みの規模は、メガワットだけでは測れない」と述べています。
買い手をまとめると、交渉の相手として大きくなる。それが狙いです。
売った側は、財閥が並んだ
落札したのは次の各社です。
| 発電会社 | 系列 |
|---|---|
| Sual Power、Malita Power | サンミゲル・グローバル・パワー(Ramon Ang氏) |
| Therma Luzon、Therma Visayas | アボイティス・パワー(Sabin Aboitiz氏) |
| エネルギー開発公社(EDC) | ロペス・グループ(Federico Lopez氏) |
| パーム・コンセプシオン電力 | Walter Brown氏 |
フィリピンの発電を握る主要な系列が、そのまま並んでいます。買い手が束になっても、売り手の顔ぶれは変わらないという現実も、同時に見えます。
2027年からの15年、という時期
契約の始まりが2027年である点は、いまの市場と重ねると意味が出ます。
8月の卸電力価格は、ビサヤで1キロワット時18.59ペソ、ミンダナオで19.56ペソと、市場が始まった2006年以降で最も高くなりました。石炭火力の計画外停止が重なったためです。
長期の相対契約は、こうした市場価格の乱高下から買い手を守る仕組みです。卸市場が20年ぶりの高値をつけた直後に、15年の固定的な調達を確保したことになります。ただし契約単価は公表されていないため、それが有利な水準かどうかは分かりません。なお本文のペソ建ての単価は、当サイトの別記事で1ペソ=2.49円(2026年9月4日時点)として換算した値を引いている。
確かめるべきは、単価が明らかになるかどうかと、同じ方式の共同入札が他の地域にも広がるかどうかです。
SOURCES / 出典
- Philippine Daily InquirerメディアLuzon, Visayas power coops seal 15-year baseload supplybusiness.inquirer.net
- PhilSTARメディアAng, Aboitiz, Lopez firms seal power deals with ECsphilstar.com
同じカテゴリーのNews
RELATEDこの動きを読み解くInsights
INSIGHTSフィリピンの電気代が東南アジアで一番高い、直撃するのは半導体と精密電子の工場
フィリピンの平均電力価格が2026年6月に1キロワット時12.43ペソとなり、シンガポールを抜いて東南アジアで最も高くなりました。この高さが最も重くのしかかる日系企業は、半導体と精密電子の製造業です。単価が原価に乗るうえ、停電が頻発する地域では自家発電を持たされ、製造コストがさらに上がります。しかも影響は、進出をやめた素材・部品産業という形でも現れています。
フィリピンの物価は日本の3分の1?牛乳もクルマも日本より高い【2026年9月】
PHILIPPINES STARTUP編集部の私は、マニラに住んでいたことがあります。週2回外食して、プール付きのマンションに住んだら、生活費は東京とほとんど変わりませんでした。むしろ高い月もありました。100品目を東京と比べたら、「日本の3分の1」に当てはまったのは19品目だけ。牛乳もガソリンもクルマも日本より高い。日本人が住むBGCとマカティの家賃、必要な月額、そして物価上昇がいま企業に何を起こしているかまで書きました。
フィリピンの法人税ゼロは、もう大手日本企業の得になっていない
フィリピンの経済特区に入ると数年間は法人税がゼロになります。ところが日本は2024年4月から、税負担の軽い海外子会社の分を親会社に課税し始めました。フィリピンには自国で先に取る制度がないため、免除された分は日本に納めることになります。下院の調査によれば、売上上位1%の法人の実効税率の中央値は5〜6%しかありません。



