米KKRがルソン経済回廊の案件に資金を出す道を財務省と協議
KEY POINTS
- ニュースの要点
- フィリピン財務省のMa. Angela Ignacio次官が10月8日、米投資会社KKRのDavid Petraeus氏(KKRグローバル研究所会長)と会い、ルソン経済回廊の優先案件にKKRが資金を出す方法を話し合いました。KKRはフィリピンに20億ドル超を投じており、投資先を広げる意向を示しています。
- この動きの意味
- KKRは9月に発電会社First Genの株をすべて売って撤退したばかりです。それでもフィリピンから離れるのではなく、回廊のインフラやデジタル、半導体などに軸を移して関わり続ける姿勢を政府と確かめた点に意味があります。
- 今後の注目点
- 協議が具体的な案件名や金額の入った投資に進むか。KKRが関心を挙げた分野のうち、どこで最初の案件が出るか。
米投資会社のKKRが、ルソン経済回廊(LEC)の優先案件にどう資金を出せるかを、フィリピン財務省と話し合いました。財務省が10月19日に公表しています。
ルソン経済回廊は、スービック湾・クラーク・マニラ・バタンガスを結ぶ帯に投資を集める枠組みです。日本・米国・フィリピンの3か国で始まりました。
誰が会ったのか
会ったのは、Frederick Go財務長官の代理を務めたMa. Angela Ignacio次官(政府系企業・投資担当)と、KKRグローバル研究所の会長David Petraeus氏です。日付は10月8日でした。
Petraeus氏は「フィリピンは若い国で、速く成長してきた。うまくやっていくにはインフラなどへの資金が要る」と述べ、KKRとして早くからフィリピンに入るべきだと考えてきたと説明しています。
KKRの規模とフィリピンでの実績
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 世界での運用資産 | 約 7,500億ドル(約117兆円) |
| フィリピンへの投資 | 20億ドル超(約3,100億円) |
| これまでの投資先の分野 | デジタル金融、インフラ、生活に欠かせないサービス |
Daily Tribuneによると、フィリピンでの主な投資は次のとおりです。
- 電子マネーのMaya(旧Voyager Innovations)に出資。2018年にはTencentと組んで最大1億7,500万ドル(約273億円)の調達を主導した
- 2019年、GICと組み、Metro Pacificの病院事業に353億ペソ(約879億円)を投じた
- 2020年と2021年に発電会社First Genの株を約183億ペソ(約456億円)で取得した
このFirst Genの株は、KKRが9月にすべて売却しています。8月に非公開化を提案して断られた1か月後のことでした。
関心を示した分野
財務省によると、KKRが投資の機会として挙げたのは次の分野です。
- フィンテック、医療、エネルギー、通信インフラ、教育
- 半導体、先端製造、重要鉱物、物流、デジタルインフラ
Ignacio次官は、手続きを簡単にする改革を進めて、主要産業への提携を呼び込むと述べました。財務省は、税の優遇を定めたCREATE MORE法、新しい官民連携(PPP)法、投資家の土地の長期賃借を認める法律などを改革の例として挙げています。
ルソン経済回廊には、日米比に加えて欧州や豪州などが参加を広げています。9月にマニラで開かれた初の投資フォーラムでは、米国側が東南アジアの雛形と位置づけていました。
換算の基準は1ドル155.9円、1ペソ2.49円(2026年9月4日時点)です。
SOURCES / 出典
- フィリピン財務省(Department of Finance)政府・規制当局一次情報KKR reaffirms strong interest in Luzon Economic Corridordof.gov.ph
- デイリー・トリビューン(Daily Tribune)メディアKKR eyes Philippine projects under Luzon corridortribune.net.ph
同じカテゴリーのNews
RELATEDこの動きを読み解くInsights
INSIGHTSフィリピンの法人税ゼロは、もう大手日本企業の得になっていない
フィリピンの経済特区に入ると数年間は法人税がゼロになります。ところが日本は2024年4月から、税負担の軽い海外子会社の分を親会社に課税し始めました。フィリピンには自国で先に取る制度がないため、免除された分は日本に納めることになります。下院の調査によれば、売上上位1%の法人の実効税率の中央値は5〜6%しかありません。
フィリピンの電気代が東南アジアで一番高い、直撃するのは半導体と精密電子の工場
フィリピンの平均電力価格が2026年6月に1キロワット時12.43ペソとなり、シンガポールを抜いて東南アジアで最も高くなりました。この高さが最も重くのしかかる日系企業は、半導体と精密電子の製造業です。単価が原価に乗るうえ、停電が頻発する地域では自家発電を持たされ、製造コストがさらに上がります。しかも影響は、進出をやめた素材・部品産業という形でも現れています。
フィリピンの物価は日本の3分の1?牛乳もクルマも日本より高い【2026年9月】
PHILIPPINES STARTUP編集部の私は、マニラに住んでいたことがあります。週2回外食して、プール付きのマンションに住んだら、生活費は東京とほとんど変わりませんでした。むしろ高い月もありました。100品目を東京と比べたら、「日本の3分の1」に当てはまったのは19品目だけ。牛乳もガソリンもクルマも日本より高い。日本人が住むBGCとマカティの家賃、必要な月額、そして物価上昇がいま企業に何を起こしているかまで書きました。



