IT-BPM業界が420億ドル目標の達成を明言、GCCは200社超に
KEY POINTS
- ニュースの要点
- フィリピンのIT-BPM業界団体IBPAPの社長兼CEO、Jack Madrid氏が、2026年の業界売上目標420億ドル(約6兆5,500億円)を達成できると述べました。2025年の実績は403億ドル(約6兆2,800億円)です。
- この動きの意味
- 伸びを支えているのは受託ではなく、外国企業が自社で運営する拠点GCCです。国内は200社超まで増えましたが、インドの約2,200社と比べると桁が違います。
- 今後の注目点
- 使える人材が足りるか。第4四半期の年末商戦で採用が増えるか。首都圏のIT経済特区の申請凍結が解けた効果が出るか。
フィリピンのIT-BPM業界団体 IBPAP の社長兼CEO、Jack Madrid氏が、2026年の業界売上目標を達成できると記者団に述べました。
数字の現在地
2025年は実績、2026年は業界団体IBPAPの目標。
目標は 420億ドル(約6兆5,500億円)です。2025年の実績 403億ドル(約6兆2,800億円)から、4.2%の伸びになります。
Madrid氏は「今年420億ドルの目標を達成できると確信している」と述べました。
牽引役はGCCに移っている
伸びを引っ張るのは、GCC(グローバル・ケイパビリティ・センター)です。外国企業が自社で運営する拠点を指します。受託先に仕事を出すBPOとは、そもそも形が違います。
国内のGCCは 200社超。1年前の業界団体の説明では170社、その2年前は150社でした。
| GCCの数 | |
|---|---|
| フィリピン | 200社超 |
| インド | 約2,200社 |
Madrid氏は「我々は2位だ……しかし成長率を上げるべきだ」としています。2位ではあるが、1位との差は10倍以上という位置づけです。
条件は人材
Madrid氏が挙げた条件は、設備でも税制でもなく人です。
- AIを使いこなせる人材
- 深い業務知識
- 批判的思考と問題解決
- 意思疎通と統率
「雇える人材が手に入るかどうか。それが非常に重要になる」と述べています。
第4四半期は、感謝祭・ブラックフライデー・クリスマスの需要で採用が増える見通しです。
追い風になった制度
- 2026年7月、首都圏のIT経済特区の申請凍結が解除
- ルソン経済回廊の交通基盤整備
凍結の解除は、首都圏に新しい認定拠点を置けるようになったことを意味します。
日系企業にとっての読みどころ
注目すべきは、成長の中身が受託から自社拠点へ移っていることです。
日本企業がフィリピンに経理・IT・データ分析の拠点を置く場合、選択肢は「現地企業に出す」だけではありません。GCCという形が、すでに200社超の実績として存在します。
一方で、Madrid氏が繰り返し人材を条件に挙げている点は、裏を返せば取り合いが起きているということです。拠点の設置を考えるなら、賃金と定着の前提は早めに見ておく必要があります。
1ドル=155.9円で換算しています(2026年9月4日時点)。
SOURCES / 出典
- The Philippine StarメディアIT-BPM industry confident of hitting $42 billion revenue targetphilstar.com
- GMA News OnlineメディアIBPAP bullish on growth of global capability centers in PHgmanetwork.com
同じカテゴリーのNews
RELATEDこの動きを読み解くInsights
INSIGHTS英語と安さで選ばれたフィリピンの画面に、世界の口座と診療記録が映っている
フィリピンのコールセンターが選ばれてきた理由は、英語が通じて安いことです。業界団体自身の資料がそう書いています。ところがそこに届いているのは、世界の銀行と医療のユーザーからの問い合わせでした。選ばれた理由と任されている中身が噛み合っていません。2年で2度、オーストラリア企業の顧客情報がマニラを経路に抜かれ、アナリストは「顧客はリスクを拠点の所在地で値付けする」と言います。
フィリピンの平均年収は約67万円。職業別の給料ランキングTOP10と最低賃金【2026年版】
フィリピンの平均年収は約67万円。日本の478万円と並べると7.1倍の差がある。ただしこの平均は、日本企業が採用する層の給料ではない。フィリピン統計庁の2024年調査から、職業別の給料ランキングTOP10、産業ごとの相場、日本を上回る速さで進む最低賃金の引き上げを整理する。
フィリピンの電気代が東南アジアで一番高い、直撃するのは半導体と精密電子の工場
フィリピンの平均電力価格が2026年6月に1キロワット時12.43ペソとなり、シンガポールを抜いて東南アジアで最も高くなりました。この高さが最も重くのしかかる日系企業は、半導体と精密電子の製造業です。単価が原価に乗るうえ、停電が頻発する地域では自家発電を持たされ、製造コストがさらに上がります。しかも影響は、進出をやめた素材・部品産業という形でも現れています。



