PHILIPPINES STARTUP
NEWS政府・政策日本 × フィリピン

日比が共同議長、AZEC閣僚会合が石油備蓄の作業計画を採択

KEY POINTS

ニュースの要点
アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)の第4回閣僚会合が10月8日にマニラで開かれました。フィリピンのエネルギー省と日本の経済産業省が共同議長を務め、石油備蓄の強化、産油国との協力、緊急時の対応の足並みをそろえることを盛り込んだ作業計画を採択しました。
この動きの意味
フィリピンは石油をほぼ輸入に頼っており、中東からの供給が途切れると燃料価格が跳ねます。備蓄を地域で持ち合う枠組みは、その揺れを和らげる手立てになります。日本が共同議長として制度づくりに関わる点も、日本企業には関わりの入口になります。
今後の注目点
地域の石油備蓄拠点の構想がフィリピンに置かれるか。サウジアラビアとアラブ首長国連邦の支援が具体化するか。11月に出るASEAN共同備蓄の報告書との接続。次回のシンガポール会合で何が決まるか。

アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)の第4回閣僚会合が、10月8日にマニラで開かれました。共同議長はフィリピンのエネルギー省(DOE)と日本の経済産業省です。

採択されたのは、石油備蓄を強めるための閣僚級の作業計画です。

参加国

項目内容
参加11の国と地域
顔ぶれオーストラリア、ブルネイ、カンボジア、インドネシア、日本、ラオス、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム
関連事業およそ 600件
次回シンガポールが共同主催

関連事業の中身は、再生可能エネルギー、省エネ、水素とアンモニア、バイオ燃料、二酸化炭素の回収・貯留です。

作業計画に入ったもの

デイリー・トリビューンによれば、作業計画には次が並びました。

  • 任意の石油備蓄の取り組みを探る
  • 天然ガスと液化天然ガス(LNG)の供給で協力を広げる
  • 各国の事情に合わせてエネルギー構成を多様にする(太陽光、風力、水力、地熱、バイオ燃料、蓄電、選ぶ国には原子力)
  • ASEAN電力網の構想のもとで国境を越えた電力取引と送電の事業を探る
  • 省エネを進める。とくにデータセンター
  • 移行期の資金と炭素市場での協力を支える

フィリピン・スターによれば、計画はさらに、地域の社会基盤の整備、産油国との協力、緊急時の対応の足並みをそろえることにも及びます。

なぜフィリピンに効くのか

エネルギー長官のSharon Garin氏は、この協力がフィリピンにとってとくに重要なのは輸入石油への依存があるからだと述べました。備蓄を強めれば供給の非常時に備えやすくなり、世界市場の乱れの影響を抑えられる、という説明です。

依存の度合いは、同省が先に示した数字が物語ります。石油は最終エネルギー消費の47.7%を占め、原油輸入のおよそ9割が中東からです。

Garin長官はさらに、日本やほかのエネルギー分野の相手国と組んで 地域の石油備蓄拠点 を設ける可能性を検討していることを、記者説明の場で明らかにしました。

備蓄の共同化は、ASEANの側でも並行して動いています。ASEANの共同石油備蓄には5か国が賛同し、東アジア・アセアン経済研究センターの報告書が11月に出る予定です。

中東の2か国が支援の意向

日本の経済産業副大臣である高木啓氏は、サウジアラビアとアラブ首長国連邦がAZEC各国の石油備蓄の仕組みを支援する意向を示した、と述べました。

どちらも産油国です。アジア側が備蓄を積む際に、供給元が設備や運用の面で関わるという形になります。

原子力の覚書も

フィリピン・スターによれば、会合の傍らで、Garin長官と日本の経済産業大臣である赤沢亮正氏が、フィリピンの原子力発電の導入準備に関する協力覚書を交わしました。優先課題を洗い出し、進み具合を見て、技術のやり取りを進めるための共同作業部会を設けます。

フィリピンの原子力は、まだ規制の体制づくりの段階にあります。原子力規制庁の初代トップの人選が進んでいるところです。

日本企業にとっての読みどころ

共同議長という立場は、制度の設計に日本が関わることを意味します。備蓄の拠点、LNGの供給、データセンターの省エネ、炭素市場。作業計画に並んだ項目は、いずれも日本の事業者が持ち込める技術と重なります。

ただし、作業計画の本文は今回の2つの出典のいずれにも載っていません。各項目がいつ、どの国で、どれだけの規模で動くのかは、現時点では分かりません。次回のシンガポール会合が一つの区切りになります。

本記事は会合の合意事項を扱い、金額の記載がないため為替換算を行っていない。

SOURCES / 出典

  1. Daily Tribuneメディア
    Asia energy ministers push stronger regional supply securitytribune.net.ph
  2. The Philippine Starメディア
    Philippines, AZEC strengthen regional oil stockpiling pushphilstar.com

SHARE

#AZEC#エネルギー省#経済産業省#石油備蓄#エネルギー安全保障#日本企業

同じカテゴリーのNews

RELATED

この動きを読み解くInsights

INSIGHTS

フィリピンの法人税ゼロは、もう大手日本企業の得になっていない

フィリピンの経済特区に入ると数年間は法人税がゼロになります。ところが日本は2024年4月から、税負担の軽い海外子会社の分を親会社に課税し始めました。フィリピンには自国で先に取る制度がないため、免除された分は日本に納めることになります。下院の調査によれば、売上上位1%の法人の実効税率の中央値は5〜6%しかありません。

三井住友は、なぜフィリピンの同じ財閥に5年で4回も出資したのか

日本の三井住友グループが、フィリピンで5年に4回、同じ企業グループの会社に出資しています。銀行に3回、そのリース会社、そして風力発電会社。フィリピンでは外国企業が銀行を100%買えるのに、三井住友は4分の1弱で止めています。買い取るつもりがないなら、何を狙っているのか。会社そのものより、その財閥が持つ顧客基盤でした。