フィリピンの知財庁がAI作品の登録指針案、守るのは人の部分だけ
KEY POINTS
- ニュースの要点
- フィリピン知的財産庁(IPOPHL)の著作権・関連権局が、「AIシステムおよびAI関連作品の登録可能性に関する指針案」を公開し、意見聴取を始めました。
- この動きの意味
- AIを使ったこと自体は登録の妨げになりません。ただし保護が及ぶのは、人の創作的な寄与が認められる部分だけです。一般的なプロンプトを投げて出てきた画像をそのまま出しても、著作権は付きません。
- 今後の注目点
- 単一の判定基準を置かず、事案ごとに要素を総合して判断するとしている点。確定の時期は示されていません。
フィリピン知的財産庁(IPOPHL)の著作権・関連権局が、AIを使った作品の著作権登録についての指針案を公開しました。「AIシステムおよびAI関連作品の登録可能性に関する指針案」です。
出発点
AIシステムを使ったこと自体は、その作品の登録を妨げない。これが指針案の出発点です。
そのうえで、保護が及ぶ範囲を限ります。作品に含まれる「人の創作的な寄与に帰せられる独創的な表現」であって、判例上の独創性の要件を満たす部分です。
4つの類型
| 類型 | 保護の及ぶ範囲 |
|---|---|
| AI支援 | 人が道具としてAIを使う。人による選択と配列が対象 |
| AI強化 | 人の作品をAIが加工。原作と人が加えた改変が対象 |
| 混合 | 人とAIの要素が混ざる。人の寄与のうち保護可能な部分が対象 |
| AI生成出力 | 十分な人の関与のない出力は対象外 |
指針案が挙げる例はこうです。ある人がAIに一般的なプロンプトを与え、出てきた画像をそのまま提出した。表現の要素にそれ以上の創作的な寄与を加えていない。この場合、登録や記録をしても、その出力に著作権は及びません。
判断の材料
IPOPHLが審査で考慮するとされる要素は4つです。
- 人の創作的な寄与の性質と程度
- AIシステムが果たした役割
- AIが生成した要素をどう選択・改変・配列・組み込みしたか
- 出願人が提出した情報
指針案は、単一の固定した判定基準を置きません。これらを事案ごとに総合して判断するとしています。
AIシステム自体の登録
AIシステムそのものを著作物として登録する道も示されました。ただし対象は、提出されたコンピュータプログラムのうち著作権の及ぶ表現に限られます。
対象外となるもの:
- AIの学習データ
- 学習に使われた著作物・素材
- AIの出力
- プログラムのうち保護対象でない部分
位置づけ
指針案は「AI全般を規制するものでも、AI関連作品の著作物性について確定的な判断を下すものでもなく、IPOPHLへの登録における取り扱いをより明確にすることを目指す」とされています。
意見聴取は2026年9月10日と11日に行われました。IPOPHLは政府機関、弁護士、研究者、創作者、技術企業、そして一般から意見を集めてから確定する方針で、時期は示されていません。
関係する役職者は、長官の Teodoro Pascua 氏、次長の Ann Claire Credo-Cabochan 氏、局長の Emerson Cuyo 氏です。
日系企業にとっての読みどころ
フィリピンに制作や設計の拠点を置く企業には、実務の話になります。
成果物の権利を主張したいなら、人が何をしたかを記録に残す必要がある。選択、改変、配列、組み込み。指針案が挙げるのはいずれも作業の過程です。完成物だけを見ても判定できません。
もう一点、学習データが保護対象外と明記された点も見どころです。自社のデータでAIを学習させた場合、そのデータ自体はこの登録では守られません。営業秘密など別の枠組みで扱うことになります。
使ってよいが、守られるのは人の分だけ。この線引きは米国の運用に近く、フィリピン単独の特殊な判断ではありません。
SOURCES / 出典
- Newsbytes.PHメディアIPOPHL: AI-generated works need human contribution to qualify for copyrightnewsbytes.ph
- ASTIG.PHメディアIPOPHL drafts AI copyright rules: only the human-made parts would be protectedastig.ph
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