社会保障機構、運用資産1.44兆ペソで714億ペソの収益を目指す
KEY POINTS
- ニュースの要点
- 社会保障機構(SSS)が2026年末までに運用収益714億ペソを目指す計画を示した。運用資産は1兆4,400億ペソ、利回りは6.11%を見込む。うち7,241億ペソを国債に充て、347億ペソの収益を見込んでいる。6月末時点の運用資産は1兆2,700億ペソだった。
- この動きの意味
- 国内最大級の機関投資家が、資産の半分近くを国債に置きながら、加入者向け融資と不動産の比重を上げようとしている。融資は国債より2%高い利回りが得られるうえ、掛金や年金を担保に取れるため安全性も近い、という判断である。
- 今後の注目点
- 150億ペソの海外投資が年内に実行されるか。年末の実績が714億ペソに届くか。加入者向け融資の残高が伸びるか。不動産投資の利回りが6.11%の想定に近づくか。
フィリピンの民間部門の年金を扱う 社会保障機構(SSS)が、2026年末までに運用収益 714億1,000万ペソ(約186億円)を目指す計画を示した。設立69周年の記者会見で明らかにした。
想定している運用資産は 1兆4,400億ペソ(約3兆7,400億円)、利回りは 6.11% である。6月末時点では、運用資産1兆2,700億ペソ(約3兆3,000億円)で、利回りは4.53%だった。
半分近くを国債に置いている
- 国債7,241億ペソ・利回り6.39%
- 株式1,910億ペソ
- 加入者向け融資1,536億7,000万ペソ
- その他社債・投資信託・外部委託運用・不動産など
国債と株式・加入者融資の額は公表値。「その他」は編集部が差し引いて算出した。
最も大きいのは 国債で、年末までに7,241億ペソ(約1兆8,800億円)を充て、347億5,000万ペソ(約90億円)の収益を見込む。利回りは6.39%の想定である。6月末時点では6,290億5,000万ペソ(約1兆6,400億円)で、利回りは5.43%だった。
SSSのコミッショナー Victor Alfonso Limlingan 氏は、運用方針をこう説明した。
「ここでの要点は、加入者の安全と、収益を増やす必要のあいだで釣り合いを取ることだ。難しい綱渡りである。保守的すぎると年金を払うのに必要な収入が生まれない。同時に、もう少し攻める必要もある」
融資は国債より2%高く、しかも取りはぐれにくい
方針として力を入れると明言したのが、加入者向け融資である。理由は利回りの差にある。
「大きく進めているのは、融資のポートフォリオを改善することだ。我々の融資は平均して国債より200ベーシスポイント(2%)高く稼ぐ。しかも掛金や年金で担保されているので、ほぼ同じくらい安全である」(Limlingan氏)
給与から天引きされる掛金や、受け取る年金を担保に取れるため、回収が読める。この考え方のうえに、小口融資の SSS LoanLite の拡大が置かれている。
不動産にも比重を移している。年末までに1,793億8,400万ペソ(約466億円)を充て、117億6,300万ペソ(約306億円)の収益を見込む。同氏の説明はこうである。
「加入者の多くは非常に若く、人生のずっと後になるまで掛金を引き出す必要がない。我々の最も成績の良い運用は、多くの方が確認されているとおり不動産である。1年や2年では上がらないかもしれないが、20年で見れば価値は上がる。それが我々の加入者に必要な時間軸だ」
海外投資には 150億ペソ(約39億円) を年内に振り向ける計画である。
1.4兆ペソが動く先
SSSの規模は、フィリピンの資本市場の文脈で見ると意味が変わる。運用資産1兆4,400億ペソは、銀行預金の総額22兆ペソ(約57兆円)の1割弱にあたる。
その半分が国債に向かうということは、政府の資金調達の受け皿としても大きい。7月の政府の借入総額は2,913億ペソ(約757億円)で前年同月比75.4%増、10年物国債の利回りは7月時点で7%を超えていた。外国人が国債から資金を引き揚げた月に、国内の年金基金が国債の比重を上げようとしているという並びになる。
株式については1,910億ペソ(約497億円)を充て、約80億ペソ(約208億円)の収益を見込む。新規上場が細り、上場企業が去っていく市場にとって、この規模の国内資金の存在は下支えの要素になる。
換算は1ペソ=2.6円(2026年8月21日時点)で計算した目安である。
SOURCES / 出典
- BusinessWorldメディアSSS looks to grow investment income to P71B by year-endbworldonline.com
- Philippine Daily InquirerメディアSSS sees P71.4B income in 2026 as portfolio nears P1.5Tbusiness.inquirer.net
参考(本文の補足)
- Social Security System (Philippines)Social Security System
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