7月の政府の借入総額が2,913億ペソに、前年同月比75.4%増
KEY POINTS
- ニュースの要点
- 財務省国庫局(BTr)のデータによると、7月の政府の借入総額は前年同月の1,661億700万ペソから75.4%増えて2,913億7,500万ペソ(約7,580億円)になった。93.1%にあたる2,713億2,100万ペソが国内調達で、財務省短期証券の純発行1,332億ペソと固定利付国債1,381億2,100万ペソからなる。
- この動きの意味
- エコノミストは、これを財政の急激な悪化ではなく起債の時期と前倒しの問題と見ている。第4四半期に集中するインフラ支出、中東情勢の影響を和らげる社会扶助、既存債務の償還を控えて、市場に資金がある間に調達したという読みである。
- 今後の注目点
- 8月以降も同じペースの調達が続くか。第4四半期のインフラ支出が実際に立ち上がるか。外貨建てのグローバル債の発行時期。政策金利5%への引き上げが調達コストにどう出るか。
政府の資金調達が7月に大きく膨らんだ。
財務省国庫局(BTr)のデータによると、7月の借入総額は 2,913億7,500万ペソ(約7,580億円) で、前年同月の1,661億700万ペソから 75.4%の増加 だった。
中身のほとんどは国内である。
| 7月の借入 | 金額 | 前年同月比 |
|---|---|---|
| 国内 | 2,713億2,100万ペソ(全体の93.1%) | +77.9% |
| 海外 | 200億5,400万ペソ | +47.81% |
国内調達の内訳は、財務省短期証券(Tビル)の純発行が1,332億ペソ、固定利付国債が1,381億2,100万ペソである。海外は新規のプロジェクト借款が186億4,100万ペソ、プログラム借款が14億1,300万ペソで、7月にグローバル債の発行はなかった。
「財政が75%悪化した」という話ではない
エコノミストの読みは一致している。これは調達の時期の問題であって、財政状況が急に悪化したわけではない。
ユニオンバンク・オブ・ザ・フィリピンズのチーフエコノミスト Ruben Carlo O. Asuncion 氏は「7月の借入の急増は、資金需要と、起債・借り換えの時期が重なった結果だろう」と述べたうえで、「政府は市場に流動性があるうちに資金を確保し、必要額の一部を前倒しで手当てした可能性もある」と付け加えた。月次の借入額は発行スケジュールや借り換えの都合、市場環境に左右されるため、前年同月比では大きく振れるという。
アジア太平洋大学のエコノミスト Marco Antonio C. Agonia 氏は、政府が複数の支出に同時に向き合っていることの表れだとする。「第4四半期のインフラの駆け込みに備え、中東情勢の影響を和らげる社会扶助の財源とし、既存債務を返済するために、政府は債務を増やした」
アテネオ大学経済研究開発センターの上席研究員 Ser Percival K. Peña-Reyes 氏は、より明確に「これは資金調達カレンダーと債務管理の効果を反映したもので、財政状況が突然75%悪化したということではない」と述べた。「7月の急増は、構造的に大きい資金需要の上に、時期と構成の話が重なったものと解釈できる」
支出の側では逆のことが起きている
この数字は、直近の財政統計と並べて読む必要がある。
7月の財政赤字は前年同月の4.6倍にあたる1,063億ペソに拡大した一方で、上半期のインフラ・資本支出は40.8%減っている。洪水対策事業をめぐる不正問題を受けて導入された支払い審査の厳格化が、公共工事への資金交付を止めているためである。
つまり、政府は資金を集めているが、インフラには出ていない。Agonia 氏が言う「第4四半期のインフラの駆け込み」が実際に起きるかどうかが、この構図が解けるかどうかを決める。
本記事のペソ建て金額は 1ペソ=約2.6円(2026年8月21日時点のレート)で換算した。内訳の金額は構成比と前年比が論点のため換算していない。
SOURCES / 出典
- BusinessWorldメディアNG gross borrowings surge in Julybworldonline.com
- Philippine Daily InquirerメディアJuly gov’t borrowings surge to P291.38Bbusiness.inquirer.net
- The Philippine StarメディアGovernment borrowings surge to P291 billionphilstar.com
参考(本文の補足)
- Bureau of the TreasuryBureau of the Treasury(財務省国庫局)
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