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スールー海のガス鉱区、推定資源量が3倍の8兆立方フィートへ上方修正

KEY POINTS

ニュースの要点
スールー海南西部のサービス契約80番にあるHalcon探鉱対象について、作業主体のTetragon Energyが見込み資源量を2.6兆立方フィートから8兆立方フィートへ引き上げた。掘り当てる確率の見積もりも18%から24%へ上がった。
この動きの意味
この数字は確認された埋蔵量ではなく、まだ掘っていない場所の推定である。それでも重く受け止められるのは、ルソン島の電力の約4割を支えてきたマラムパヤが2027年ごろ枯渇し、代わりに輸入LNGへの依存が進んでいるためである。
今後の注目点
2027年半ばにそろう地震探査データの結果。掘削に進む判断が出るか。フィリピン政府がSC 80の作業計画を承認するか。PXPが係争海域のSC 72で動けるようになるか。

スールー海の南西部にある鉱区で、ガスの見込み量が3倍に引き上げられた。

鉱区の作業を主導するオーストラリアの Tetragon Energy が9月3日にオーストラリア証券取引所へ届け出た内容で、フィリピン側の権益者である PXP Energy が翌4日にフィリピン証券取引所へ開示した。対象は「Halcon(アルコン)」と呼ばれる探鉱対象で、サービス契約80番(SC 80)の区域にある。

従来今回
見込み量(中位ケース)2.6兆立方フィート8兆立方フィート
ガスを掘り当てる確率18%24%

Tetragonのマネージングディレクター Conrad Todd氏は「中位ケースの見込み資源量が3倍になったことは、この機会の大きさを示している」と述べています。

これは「見つかったガス」ではない

ここを取り違えると、話の大きさを読み誤る。

今回の8兆立方フィートは prospective resources、つまり まだ掘っていない場所について、地質のデータから推定した見込み量である。確認された埋蔵量ではない。同時に示された「掘り当てる確率24%」は、4回に3回は空振りに終わるという意味でもある。

とはいえ、18%から24%へ上がったこと自体は前進である。次の節目は 2027年半ばで、そこで地下構造を調べる地震探査のデータがそろう。掘るかどうかの判断はその先になる。

なぜフィリピンにとって重い話なのか

フィリピンの天然ガスは、ほぼ1つの鉱区に頼ってきた。パラワン沖のマラムパヤである。ルソン島の電力の約4割をこのガス由来の発電がまかなってきたが、その枯渇は 2027年ごろと見られている。

代わりに増えているのが液化天然ガス(LNG)の輸入で、2023年に始まった。ただし輸入は価格を国際市況に委ねることになる。燃料高がそのまま物価に出ている現状を見れば、その脆さは分かりやすい。2026年1月にはマラムパヤ東1号の新たなガス層が見つかったが、規模は元の鉱区の4%程度にとどまるとされる。

8兆立方フィートという数字が注目されるのは、この文脈があるからである。

争いのない海である、という点

もうひとつ見落とされやすい違いがある。場所である。

PXPはリード堆(フィリピンではRecto Bankと呼ぶ)のSC 72という鉱区も持つが、南シナ海の領有権をめぐる中国との対立で作業が止まったままになっている。ガスがあると分かっていても掘れない。

一方、SC 80のスールー海南西部は その争いの外にある。同じ会社が持つ2つの鉱区で、地質ではなく外交が明暗を分けている構図になる。今回の上方修正が市場に効いたのは、資源量そのものだけでなく、それが手をつけられる海にあるからでもある。

権益と、市場の反応

SC 80の権益は、Tetragonが37.5%、PXP Energyが12.5%、The Philodrill が12.5%を持つ。PXPは実業家Manuel V. Pangilinan氏の系列、Philodrillはラモス家に連なる会社である。

開示を受けてPXPの株価は4.04%上昇し、3.35ペソで引けた。権益12.5%の会社に対する評価としては、掘る前の段階で動いた分だけ期待が乗ったことになる。株価は単価のため円換算していない。

隣接するインドネシア領・マレーシア領のボルネオ沖深海では、PetronasとEniが発見を重ねている。地質としては同じ系統にあるという見立てが、今回の上方修正の背景にある。

SOURCES / 出典

  1. PSE Edge(フィリピン証券取引所の適時開示)企業公式一次情報
    PXP Energy Corporation: Tetragon Energy Ltd. ASX announcement on SC 80 Halcon prospective resourcesedge.pse.com.ph
  2. Philippine Daily Inquirerメディア
    PXP Energy, partner find bigger gas prospects in Sulu Seabusiness.inquirer.net
  3. PhilSTARメディア
    PXP, partners see bigger gas potential in Sulu Seaphilstar.com

参考(本文の補足)

  1. GIIGNLPhilippines to increase its LNG imports to cope with gas field depletion
  2. Fulcrum(ISEAS – Yusof Ishak Institute)Natural Gas in the Philippines: A Test Case for Southeast Asia's Energy Transition
  3. PCIJHigh power bills? Filipinos can have cheaper energy if Manila can drill in Recto Bank despite China row
  4. Tetragon Energy Ltd.Tetragon Energy

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#PXP Energy#Tetragon Energy#天然ガス#スールー海#マラムパヤ#エネルギー安全保障#Philodrill

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