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工業用不動産が「建ててから探す」をやめた。開発中860ヘクタールの65%は中部ルソン

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KEY POINTS

ニュースの要点
フィリピンの工業用不動産で、借り手を決めてから建てるビルド・トゥ・スーツ・先行契約型が、投機的な先行建設を置き換えつつある。計画中・建設中の工業団地860ヘクタールのうち560ヘクタールが中部ルソンに集中している。
この動きの意味
開発費と資金調達コストの上昇が、借り手の確保を前提にした開発へ作法を変えた。供給の重心が日系製造業の集まる南部から中部ルソンへ動いており、良い区画を後から見つけるのが難しくなる方向に市場が変化している。
今後の注目点
中部ルソンの560ヘクタールがどの業種で埋まるか。PEZAが2026年の目標である3,000億ペソに届くか。日本が投資元の上位に戻るか。コールドチェーン向けの施設がどれだけ増えるか。

フィリピンの工業用不動産で、開発の作法が変わってきている。先に建ててから借り手を探す(投機的開発)のをやめ、借り手を決めてから建てる(ビルド・トゥ・スーツ、先行契約型)へ移っているという指摘が、2つの不動産サービス会社から相次いだ。

Cushman & Wakefield が8月に出した第2四半期の工業用不動産レポートは、こう書いている。

「ビルド・トゥ・スーツと先行契約済みの施設が、投機的な建設をますます置き換えつつある。EC、流通、コールドチェーンの入居者が、目的に合わせて作られ、仕様の合った空間を優先しているからだ。需要が強まるにつれ、既存の南部ベルトを補う北部の成長回廊が現れつつある」

理由は資金である。開発費と資金調達コストが上がったため、貸せるかどうか分からない状態で建てるリスクを取りにくくなった。借り手を先に確保すれば、賃貸のリスクも資金のリスクも減らせる。

「遅い成長」のなかで工業用だけ違う動きをした

不動産アドバイザリー会社 PRIME Philippines の工業用市場責任者 Joy Rosario-Bautista 氏は、7月下旬の四半期説明会でこう述べた。

「成長の鈍化、高いインフレ、高い資金調達コスト、燃料価格の上昇について耳にしてきたはずだ。当然、これらは製造・物流・ECの運営コストを生む要因である。しかし工業用は違う動きをした。倉庫、製造施設、配送センターは、運営に使われる資産だからだ」

同氏によれば、企業が求めているのは効率である。「企業は、市場のなかで実際に意味をなす先行賃貸の場所を求めている。市場がいま効率を探しているからだ。より個別に作り込まれ、自社の運営に合ったものを求めていた。結局のところ、運営を支える費用効率の良い施設が欲しいということだ」

開発中は860ヘクタール、その65%が中部ルソン

Cushman & Wakefieldがまとめた在庫と開発中の面積は次のとおりである。

面積
全国の在庫(既存)9,400ヘクタール
2026〜2028年に開発予定400ヘクタール
計画中または建設中の工業団地860ヘクタール
計画中・建設中の工業団地(地域別)(単位:ヘクタール
中部ルソン
560
カビテ・ラグナ・バタンガス
190
ダバオ都市圏
110

Cushman & Wakefield調べ。合計860ヘクタール。

860ヘクタールのうち 560ヘクタール(65%)が中部ルソンである。従来の中心だったカビテ・ラグナ・バタンガス(CALABA)の190ヘクタールを大きく上回る。レポートが言う「北部の成長回廊」とは、この中部ルソンのことにあたる。日系の製造業が集まってきたのは南のCALABA側なので、供給の重心はいま北へ動いていることになる。

中部ルソンには、上下水道の整備が動き出したニュークラークシティも含まれる。

投資の裏づけはPEZAの承認額に出ている

開発が続く根拠として、Cushman & Wakefieldは経済特区庁(PEZA)の承認額を挙げた。上半期の承認額は1,407億ペソ(約3,660億円)で、前年同期比94.42%増である。

内訳は、製造業が45%、物流が15%、経済特区の開発が9%を占めた。同社は「承認された案件は製造業が主導し、物流、経済特区の開発が続いている。これはこの分野の生産能力への投資家の信頼を映しており、年末にかけて雇用の伸びを牽引する案件の厚みを示している」としている。

PEZAの発表では、この承認額は157件の案件によるもので、前年同期の723億6,000万ペソ(約1,880億円)からほぼ倍増した。2万3,140人の雇用と33億7,000万ドル(約5,360億円)の輸出を生む見込みとされる。地域別では、コルディリェラ行政地域が500億5,000万ペソ(約1,300億円)で最大、中部ルソンが347億6,000万ペソ(約900億円)で続いた。

投資元の上位はオランダ、韓国、シンガポール、インドネシア、ドイツ、日本の順である。1〜8月に範囲を広げた集計でも、日本は投資元の上位に入っていない

進出を検討する日本企業にとっての読みどころ

「建ててから探す」開発が減るということは、空いている良い区画を後から見つけるのが難しくなるということでもある。仕様を作り込んだ施設が欲しい場合、開発事業者と早い段階で組む必要が出てくる。供給の重心が中部ルソンへ動いていることも、立地の検討では効いてくる。

換算は1ドル=159円、1ペソ=2.6円(2026年8月21日時点)で計算した目安である。

SOURCES / 出典

  1. BusinessWorldメディア
    Industrial developers shift away from speculative buildsbworldonline.com
  2. Philippine Daily Inquirerメディア
    Ecozone investments nearly doubled to P140.69B in H1business.inquirer.net

参考(本文の補足)

  1. Cushman & WakefieldCushman & Wakefield
  2. PRIME PhilippinesPRIME Philippines

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#工業用不動産#PEZA#Cushman & Wakefield#PRIME Philippines#中部ルソン#ビルド・トゥ・スーツ#コールドチェーン

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