PHILIPPINES STARTUP

「7%成長の持続は難しい」。大学の研究チームが2050年までを試算

KEY POINTS

ニュースの要点
デ・ラ・サール大学(DLSU)の経済学者らが、著書『The Philippine Economy Toward 2050』で長期的な成長率の試算を示した。2040年に約5.1%、2050年に約3.6%、2024年から2050年の平均は4.8%になるという。6%を超えることは難しいとしている。
この動きの意味
政府が掲げる長期目標「AmBisyon Natin 2040」の6.5〜8%を大きく下回る。制約として挙がったのは、経済全体の生産性の低さ、製造業の弱さ、労働者が生産性の低い農業とサービス業に集中していることである。足元でもMoody's Analyticsが2026年の予想を3%へ引き下げた。
今後の注目点
製造業の比率が上がるか。PEZAの製造業向け投資が生産性に結びつくか。危機が起きた場合の遅れをどう見るか。

デ・ラ・サール大学(DLSU)の経済学者らが、フィリピンの長期的な成長率について試算を示した。著書『The Philippine Economy Toward 2050』によるものである。

結論は明快である。7%の成長を達成し、それを持続することは難しい。

時点成長率の見通し
2040年約5.1%
2050年約3.6%
2024〜2050年の平均4.8%

政府が掲げる長期目標「AmBisyon Natin 2040」は 6.5〜8% である。試算はこれを大きく下回る。

制約は生産性にある

研究チームが挙げた制約は構造的なものだった。

  • 経済全体の生産性が低い
  • 製造業が弱い
  • 労働者が、生産性の低い農業とサービス業に集中している
  • 製造業と小売業の産出に占める割合が、大きく伸びる見込みがない

さらに、もう一度経済危機が起きれば 1人あたり所得が1,400ドル(約22万円)減り、高所得国への移行が3年遅れる と警告している。

足元でも下方修正が続く

長期の話だけではない。Moody's Analytics は2026年のフィリピンの成長率予想を 3% へ引き下げた。

当媒体は8月26日、OCBCが2026年の予想を3.8%から3.2%へ引き下げ、ASEAN5で下から2番目になる見通しを示したことを伝えた。4〜6月期の成長率は2.3%で、4四半期続けて鈍化している。

足元の弱さと、長期の天井が、同じ週に並んで語られている。 事業計画の前提として、6%を当て込みにくくなっている。


円換算は2026年8月21日時点のレート(1ドル=159円、1ペソ=2.6円)による目安です。

SOURCES / 出典

  1. Philippine Daily Inquirerメディア
    PH long-term growth unlikely to top 6%business.inquirer.net
  2. BusinessWorldメディア
    Moody's Analytics slashes Philippine growth forecast to 3%bworldonline.com

SHARE

#成長率#GDP#マクロ#予測

同じカテゴリーのNews

RELATED

この動きを読み解くInsights

INSIGHTS
トレンド

フィリピンの電気代が東南アジアで一番高い、直撃するのは半導体と精密電子の工場

フィリピンの平均電力価格が2026年6月に1キロワット時12.43ペソとなり、シンガポールを抜いて東南アジアで最も高くなりました。この高さが最も重くのしかかる日系企業は、半導体と精密電子の製造業です。単価が原価に乗るうえ、停電が頻発する地域では自家発電を持たされ、製造コストがさらに上がります。しかも影響は、進出をやめた素材・部品産業という形でも現れています。

市場分析

フィリピンの物価は日本の3分の1?牛乳もクルマも日本より高い【2026年9月】

PHILIPPINES STARTUP編集部の私は、マニラに住んでいたことがあります。週2回外食して、プール付きのマンションに住んだら、生活費は東京とほとんど変わりませんでした。むしろ高い月もありました。100品目を東京と比べたら、「日本の3分の1」に当てはまったのは19品目だけ。牛乳もガソリンもクルマも日本より高い。日本人が住むBGCとマカティの家賃、必要な月額、そして物価上昇がいま企業に何を起こしているかまで書きました。

フィリピンの法人税ゼロは、もう大手日本企業の得になっていない

フィリピンの経済特区に入ると数年間は法人税がゼロになります。ところが日本は2024年4月から、税負担の軽い海外子会社の分を親会社に課税し始めました。フィリピンには自国で先に取る制度がないため、免除された分は日本に納めることになります。下院の調査によれば、売上上位1%の法人の実効税率の中央値は5〜6%しかありません。