PHILIPPINES STARTUP

Moody'sがフィリピンをBaa2で据え置き。4〜6月の成長率は16年ぶりの低さ

KEY POINTS

ニュースの要点
Moody'sがフィリピンの発行体格付けをBaa2、見通しを安定的で据え置いた。中期的な成長力、人口構成、海外就労者からの送金、サービス輸出を評価した一方、2026年4〜6月期の成長率が2.3%と16年ぶりの低さに落ちたことを課題に挙げた。
この動きの意味
三大格付け会社のうち、安定的な見通しを保つのはMoody'sだけになった。FitchはBBBで見通しを弱気に、S&PはBBB+で強気から安定的に変えている。フィリピンの信用力の評価は、いま会社によって割れている。
今後の注目点
2026年の成長率がMoody'sの見込む3.6%に届くか。歳入に対する利払いの比率が14%からどう動くか。2028年の政治日程が財政運営にどう影響するか。

Moody's が8月24日、フィリピンの格付けを Baa2、見通しを 安定的 で据え置いた。投資適格の範囲にある。

三大格付け会社のなかで、いまフィリピンに安定的な見通しを付けているのは同社だけになった。

格付け会社格付け見通し
Moody'sBaa2安定的
FitchBBB弱気(ネガティブ)
S&PBBB+安定的(強気から引き下げ)

評価した点と、課題に挙げた点

Moody'sが支えとして挙げたのは、中期的な成長力である。

フィリピンの中期的な成長は、有利な人口構成、底堅い海外就労者からの送金、サービス輸出に支えられ続ける。

エネルギー価格の急騰に対する政府の対応が抑制的だったこと、外的な打撃を慎重な政策で乗り切ってきた実績も評価した。

一方で、足元の弱さははっきり指摘している。2026年4〜6月期の経済成長率は 2.3% で、16年ぶりの低さ に落ちた。食料とエネルギーの価格上昇、政府支出の減少が響いている。

もう一つが債務の負担能力である。同社の見立てでは、利払いが歳入の14%を超える。Baa格の国の中央値である9%と比べて重い。

数字の見通し

項目見通し
2026年の成長率3.6%
2027年の成長率5.3%
財政赤字(2026年・GDP比)3.9%(2024年は4.3%)
債務残高(GDP比)2026〜2027年に 約58% でピーク

Moody'sはリスクとして、想定より遅い景気回復、公共投資の弱さが続くこと、2028年の政治日程に伴う不透明さを挙げた。

当媒体は8月23日に、日本の格付投資情報センター(R&I)がフィリピンの投資適格を確認したことを伝えている。日本の投資家から見た信用力の評価と、国際的な評価は、いま少しずつ食い違い始めている。


円換算は2026年8月21日時点のレート(1ドル=159円、1ペソ=2.6円)による目安です。

SOURCES / 出典

  1. Philippine Daily Inquirerメディア
    Moody's affirms Philippines' Baa2 ratingbusiness.inquirer.net
  2. BusinessWorldメディア
    Moody's affirms Philippines' investment grade credit ratingbworldonline.com

SHARE

#格付け#Moody's#マクロ#GDP#財政

同じカテゴリーのNews

RELATED

この動きを読み解くInsights

INSIGHTS
トレンド

フィリピンの電気代が東南アジアで一番高い、直撃するのは半導体と精密電子の工場

フィリピンの平均電力価格が2026年6月に1キロワット時12.43ペソとなり、シンガポールを抜いて東南アジアで最も高くなりました。この高さが最も重くのしかかる日系企業は、半導体と精密電子の製造業です。単価が原価に乗るうえ、停電が頻発する地域では自家発電を持たされ、製造コストがさらに上がります。しかも影響は、進出をやめた素材・部品産業という形でも現れています。

市場分析

フィリピンの物価は日本の3分の1?牛乳もクルマも日本より高い【2026年9月】

PHILIPPINES STARTUP編集部の私は、マニラに住んでいたことがあります。週2回外食して、プール付きのマンションに住んだら、生活費は東京とほとんど変わりませんでした。むしろ高い月もありました。100品目を東京と比べたら、「日本の3分の1」に当てはまったのは19品目だけ。牛乳もガソリンもクルマも日本より高い。日本人が住むBGCとマカティの家賃、必要な月額、そして物価上昇がいま企業に何を起こしているかまで書きました。

フィリピンの法人税ゼロは、もう大手日本企業の得になっていない

フィリピンの経済特区に入ると数年間は法人税がゼロになります。ところが日本は2024年4月から、税負担の軽い海外子会社の分を親会社に課税し始めました。フィリピンには自国で先に取る制度がないため、免除された分は日本に納めることになります。下院の調査によれば、売上上位1%の法人の実効税率の中央値は5〜6%しかありません。