フィリピンの世帯所得は16.5%増、支出は24.7%増。伸びが逆転している
KEY POINTS
- ニュースの要点
- フィリピン統計庁(PSA)の速報値で、2025年の1世帯あたり平均年間所得は41万1,350ペソ(約107万円)となり、2023年の35万3,230ペソから16.5%増えた。ただし支出の伸びは24.7%で、所得の伸びを上回っている。
- この動きの意味
- 所得は増えているが、支出のほうが速く増えている。当媒体が伝えた「貧困率は9.7%まで下がったのに家計の見通しは過去最悪」という状況の内訳がここにある。名目の所得はインフレでも押し上げられており、実感との差が生まれやすい。
- 今後の注目点
- 確定値でこの差が維持されるか。支出の伸びの中身(食料・エネルギー・教育)。地域差が縮むか。
フィリピン統計庁(PSA) の速報値で、2025年の1世帯あたり平均年間所得が 41万1,350ペソ(約107万円)となった。2023年の35万3,230ペソ(約92万円)から 16.5%増 である。前回(2021年→2023年)の15%より伸びている。
ただし、支出の伸びは24.7% だった。所得の伸びを大きく上回る。
所得の半分は賃金
内訳を見る。
| 所得の源泉 | 割合 |
|---|---|
| 賃金・給与 | 54.6% |
| 事業・自営 | 15.5% |
| 帰属家賃 | 8.7% |
| 海外からの送金 | 8.5% |
| 国内からの送金 | 5.3% |
UnionBankのチーフエコノミスト Ruben Carlo O. Asuncion 氏は、所得の伸びの背景に労働市場の改善、賃金の上昇、事業活動の活発化、送金の流入があるとみる。同時に インフレが名目の所得を押し上げた ことにも触れた。
世界的に厳しい環境のなかでも、家計の稼ぐ力は改善し続けたことを示している。
地域差は2倍を超える
平均のなかに大きな開きがある。
| 地域 | 平均年間所得(2025年) | 前回比 |
|---|---|---|
| 首都圏(NCR) | 57万4,370ペソ(約149万円) | +11.8% |
| カラバルソン | 52万6,070ペソ(約137万円) | +23.3% |
| 中部ルソン | 44万7,310ペソ(約116万円) | +19.2% |
| バンサモロ自治地域(BARMM) | 24万6,050ペソ(約64万円) | — |
首都圏とバンサモロでは 2.3倍 の開きがある。
伸び率で見ると景色が変わる。もっとも速かったのは カガヤン・バレー地方の25%、もっとも遅かったのは ソクサージェン地方の3.7% だった。首都圏の11.8%は、伸びの面では下位に入る。
州別では、イロコス・ノルテ州が61万9,240ペソ(約161万円)で最も高い。
所得の階層でも差がある。最も低い層の平均は17万580ペソ(約44万円)で19%増、最も高い層は103万ペソ(約268万円)で15.6%増だった。伸び率では下の層のほうが速い。
当媒体は8月22日、貧困率が9.7%に下がる一方で家計の見通しが過去最悪になっていることを書いた。所得が16.5%増えても支出が24.7%増えていれば、手元に残る感覚は改善しない。今回の数字は、その内訳にあたる。
円換算は2026年8月21日時点のレート(1ドル=159円、1ペソ=2.6円)による目安です。
SOURCES / 出典
- BusinessWorldメディアFilipino families' spending outpaces income growth in 2025bworldonline.com
- PHILIPPINES STARTUPメディアフィリピンの貧困率が9.7%に下がっても、家計の見通しが過去最悪な理由philippines-startup.biz
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