PHILIPPINES STARTUP

零細事業者の税を帳消しにする制度に2,379者、9割が罰金分

KEY POINTS

ニュースの要点
内国歳入庁(BIR)の零細納税者向け一度きりの税額免除制度を、2026年10月3日までに2,379者が利用しました。開始から3か月での数字です。免除された税と罰金は1億4,935万ペソ(約3.7億円)。申請は1万229件で、うち8,464件が承認されています。
この動きの意味
免除額の81%にあたる1億2,112万ペソは和解罰金です。本税は2,824万ペソにとどまります。未納そのものより、申告しなかったことへの罰金が零細事業者を納税の輪から押し出していた構図が、数字に出ています。
今後の注目点
12月31日の期限までに利用者がどこまで伸びるか。直近15日で全体の43.2%が申請した勢いが続くか。制度終了後、戻ってきた納税者が申告を続けるか。

内国歳入庁(BIR)の零細納税者向け一度きりの税額免除制度を、2026年10月3日までに 2,379者 が利用しました。開始から3か月での数字です。

免除された金額の中身

2026年10月3日時点免除された税と罰金の内訳
81%
19%
  • 和解罰金約3.0億円
  • 本税約7,032万円

合計は1億4,935万ペソ。内訳の合算は1億4,936万ペソで、10万ペソの差は出典にも説明がない

罰金が 全体の81% を占めます。零細事業者にとって、払えなかった税そのものより、申告しなかったことへの罰金のほうが重かったということです。

申請の状況

項目件数・金額
利用した納税者2,379者
申請1万229件
うち承認8,464件
支払われた免除手数料4,232万ペソ(約1億538万円)

承認1件あたりの手数料は5,000ペソ(約12,450円)です。8,464件に5,000ペソを掛けると4,232万ペソになり、公表された手数料収入と一致します。

直近の15日間だけで1,027者が申請しており、これは全体のおよそ 43.2% にあたります。内国歳入庁長官のCharlito Martin R. Mendoza氏は、各地の歳入地方局と歳入地区事務所が対象者への周知を強めたことが効いたと説明しています。

より多くの零細納税者に届いており、この機会を使って義務を整理し、通常の申告に戻る人も増えている

制度の条件

項目内容
対象課税年ごとの本税と罰金の合計が8万ペソ(約19.9万円)以下の零細納税者
手数料免除する税目ごと・課税年ごとに5,000ペソ(約12,450円)
対象となる案件滞納案件、税務上の更正、申告を止めたままの案件
開始2026年7月7日
期限2026年12月31日

支払いは内国歳入庁様式0605で行えます。同庁はオフライン版のeBIRForms一式を更新し、この制度の支払いに対応させました。

この制度は、Ferdinand R. Marcos Jr.大統領が2026年の施政方針演説で、未処理の案件から生じた債務を整理できる救済策として挙げたものです。

零細事業者を巡る一連の動き

内国歳入庁は今年、零細・小規模の納税者に対して、締めつけと間口を広げる手当てを並行して進めてきました。

  1. 7月7日税額免除制度が開始

    年8万ペソ以下の税と罰金が対象

  2. 9月オンライン販売者に登録バッジ

    10月31日までの掲示を義務づけ

  3. 10月3日時点2,379者が利用

    免除額は1億4,935万ペソ

オンライン販売者は10月31日までに登録バッジを掲示する必要があります。登録していない事業者を可視化する手立てです。一方で今回の免除制度は、過去の未処理を抱えて登録に踏み切れない層に出口を用意するものにあたります。

同庁は税務調査の着眼点を公表するなど、執行の基準を明らかにする動きも見せています。

日本企業が見るところ

直接の対象は年8万ペソ以下という零細層で、現地法人の多くは当てはまりません。ただ、取引先が個人事業者や零細事業者である場合、この制度を使って登録状態を整えると、適格な領収書を受け取れるようになります。仕入税額控除の可否に関わる話です。

期限は12月31日です。取引先に未登録や滞納を抱えた相手がいるなら、年内が節目になります。

為替は1ペソ2.49円(2026年9月4日時点)で換算した。

SOURCES / 出典

  1. Daily Guardianメディア
    BIR abatement program reaches 2,379 micro taxpayersdailyguardian.com.ph
  2. The Philippine Starメディア
    Over 2,000 micro taxpayers seek tax abatement programphilstar.com

SHARE

#内国歳入庁#税制#零細事業者#税額免除#コンプライアンス

同じカテゴリーのNews

RELATED

この動きを読み解くInsights

INSIGHTS
トレンド

フィリピンの電気代が東南アジアで一番高い、直撃するのは半導体と精密電子の工場

フィリピンの平均電力価格が2026年6月に1キロワット時12.43ペソとなり、シンガポールを抜いて東南アジアで最も高くなりました。この高さが最も重くのしかかる日系企業は、半導体と精密電子の製造業です。単価が原価に乗るうえ、停電が頻発する地域では自家発電を持たされ、製造コストがさらに上がります。しかも影響は、進出をやめた素材・部品産業という形でも現れています。

市場分析

フィリピンの物価は日本の3分の1?牛乳もクルマも日本より高い【2026年9月】

PHILIPPINES STARTUP編集部の私は、マニラに住んでいたことがあります。週2回外食して、プール付きのマンションに住んだら、生活費は東京とほとんど変わりませんでした。むしろ高い月もありました。100品目を東京と比べたら、「日本の3分の1」に当てはまったのは19品目だけ。牛乳もガソリンもクルマも日本より高い。日本人が住むBGCとマカティの家賃、必要な月額、そして物価上昇がいま企業に何を起こしているかまで書きました。

フィリピンの法人税ゼロは、もう大手日本企業の得になっていない

フィリピンの経済特区に入ると数年間は法人税がゼロになります。ところが日本は2024年4月から、税負担の軽い海外子会社の分を親会社に課税し始めました。フィリピンには自国で先に取る制度がないため、免除された分は日本に納めることになります。下院の調査によれば、売上上位1%の法人の実効税率の中央値は5〜6%しかありません。