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値上がりの広がりがアジアで最も大きい国に。野村の指数でフィリピンが108

KEY POINTS

ニュースの要点
野村の調査部門が、フィリピンの物価上昇の広がりをアジアで最も大きいと評価しました。独自の物価一般化指数は108で、100を超えると経済全体に値上がりが広がっていることを示します。9月は消費者物価の構成品目の72.8%が中央銀行の目標中央値を超えて上がりました。8月の70.8%から広がっています。
この動きの意味
物価上昇率7.2%という数字が「一部の品目が跳ねた結果」なのか「全体が上がっている」のかを分ける指標です。後者だと、供給要因が収まっても価格が戻りにくくなります。同じ指数で韓国は49.7%、シンガポールは45.5%、インドネシアは43.7%です。
今後の注目点
10月22日の金融政策決定会合。野村が見込む0.25%の利上げと、その後の追加。エルニーニョによる食料価格への影響。中央銀行が注視する「期待の脱錨」が起きるかどうか。

野村の調査部門(Nomura Global Markets Research)が、フィリピンの物価上昇の広がりをアジアで最も大きいと評価しました。10月9日に出した報告書です。

何を測っているのか

使われたのは 物価一般化指数(inflation generalization index)です。値上がりが品目をまたいでどこまで広がっているかを測るもので、100を超えると広がりが大きいことを示します。

フィリピンは 108 で、野村が見ているアジア7か国・地域のなかで最も高い水準でした。

指数の裏づけになるのが、物価の構成品目のうち何%が目標の中央値を超えて上がっているかという比率です。

家計支出で加重消費者物価の構成品目のうち、中央銀行の目標中央値を超えて上がった割合(単位:%)
フィリピン
72.8
韓国
49.7
シンガポール
45.5
インドネシア
43.7

フィリピンは2026年9月、他は直近の入手可能な数字

フィリピンの72.8%は、8月の70.8%からさらに広がっています。韓国やシンガポールの1.5倍を超える水準です。

なぜこの違いが重要なのか

物価上昇率が同じ数字でも、中身は2通りあります。

型中身その後
一部の品目が跳ねる原油やコメなど供給が戻れば価格も戻りやすい
全体が上がる外食、宿泊、理美容まで賃金と価格設定に織り込まれ戻りにくい

フィリピンは後者に近い、というのが野村の読みです。実際、9月の物価上昇率7.2%では、食料と燃料だけでなく外食・宿泊・理美容といったサービスでも値上がりが出ています。変動の大きい食料とエネルギーを除いたコア指数も4.7%へ上がりました。

野村のエコノミストであるEuben Paracuelles氏は、こう述べています。

一般化指数の急上昇は、価格転嫁が速く、かつ大きく効くという我々の見方と整合的だ

中央銀行はどう動くか

野村は、10月22日の会合で0.25%の利上げがあり、政策金利が5.25%になると見ています。そのうえで、その後さらに利上げが続く可能性も挙げました。

  1. 4月引き締めを開始

    ここから累計0.75%

  2. 8月3会合連続の利上げ

    0.25%上げて5%。1年超ぶりの高さ

  3. 10月22日次の会合

    野村は0.25%上げて5.25%と予想

Paracuelles氏は「リスクの偏りは上向きだ。今後数か月で強いエルニーニョが起きる可能性があるため」としています。フィリピン気象庁(PAGASA)は、12月まで「非常に強い」エルニーニョが続き、来年前半まで残る可能性があるとしています。

中央銀行が気にしていること

中央銀行(BSP)総裁のEli M. Remolona, Jr.氏は10月9日、金融幹部協会(FINEX)の年次会合で、物価の 期待 についてこれまで以上に懸念していると述べました。

我々が心配しているのは、赤い線のように見える期待だ。十分に錨が下りているようには見えない

ここでいう「赤い線」は、今後3年の物価上昇率を5〜6%と見る予想のことです。中央銀行の8月時点の外部予測調査にあった水準を指します。ただし同総裁は、最新の調査では3年先の予想が3.3%と目標の3%へ向かっており、その点は安心材料だとも述べています。

GlobalSource Partnersの国別アナリストで元中央銀行副総裁のDiwa C. Guinigundo氏は、BusinessWorldに対し「現時点で期待が外れたと断じるのは慎重でありたい。ただしその危険は明らかに高まった」と述べました。

ユニオンバンクのチーフエコノミストであるRuben Carlo O. Asuncion氏は「心配なのは食料価格の一度きりの上昇ではなく、高い食料費が賃上げ要求、交通運賃、企業の価格設定に埋め込まれることだ」としています。

為替も効いている

10月8日、ペソは15センタボ下げて1ドル62.90ペソで引けました。9月14日の62.86ペソを下回り、過去最安値を更新しています。10月9日時点で、2025年12月29日の58.79ペソから4.011ペソ、6.39%のペソ安です。

ペソ安は輸入費用を押し上げます。外国の短期資金も8月に流出超へ転じました。

地域との比較

野村のアジア全体の指数は、8月に102へ上がりました。3月の97.1からの上昇です。ただし2022年の物価上昇局面でつけた115は下回っています。地域全体では、物価の期待も賃金の伸びも比較的抑えられている、というのが同社の見方です。

フィリピンだけが突出している構図になります。

野村は2026年の平均物価上昇率を5.8%、2027年を3.4%と見ています。

本記事は比率と金利を扱い、金額の記載が主題でないため為替換算を行っていない。本文中のペソの水準は出典が示したものをそのまま記した。

SOURCES / 出典

  1. The Philippine Starメディア
    Inflation pressures most widespread in Philippines – Nomuraphilstar.com
  2. BusinessWorldメディア
    Renewed shocks, El Niño raise risk of inflation expectations de-anchoringbworldonline.com

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#物価#中央銀行#金融政策#野村#エルニーニョ#統計

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