日産はフィリピン・ラグナ工場を閉鎖し、フィリピンでの組立工程事業を事実上終了すると貿易産業省(DTI)が発表しました。
貿易産業省は「日産は、ASEAN地域での生産と効率的な事業運営を最適化する同グループのグローバル計画に沿って、フィリピンでの日産・アルメーラモデルの組み立て事業を中止することを通知しました」と述べました。
日産・アルメーラ
貿易産業省のRamon Lopez長官は、「日産がフィリピンでの組立事業を閉鎖すると発表したことは残念なことであり、これらの動きは現地の自動車産業の危機的な状況をより一層浮き彫りにしています。したがって、国内産業をさらなる深刻な被害から守るために、暫定的なセーフガード措置を直ちに実施する必要があります」と述べました。
※セーフガードとは、国内産業に重大な損害等を与えまたは与えるおそれがあるような増加した数量の輸入に対して、かかる損害を防止するために、当該輸入国政府が発動する関税引き上げ・輸入数量制限の緊急措置をいう。
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フィリピン・2020年の輸入車販売台数は前年比40.7%減少。回復の兆しと次なる壁
日産・アルメーラの販売台数は約4,500台で、フィリピン国内の自動車市場全体の1%に過ぎず、その組立作業には133人の労働者が従事しています。従業員は、今回の閉鎖発表を受けて職を追われることになります。
日産は、133人の労働者全員に補償を行う方針です。また、影響を受けるのは組立作業員のみであることも強調されました。
マーケティングと流通ネットワークの運営は継続され、主にタイと日本から輸入された自動車の販売が継続されます。
日産は、昨年時点でアルメーラの販売台数の減少とシェアの低さを理由に、ラグナ工場を閉鎖する意向を表明していました。日本ブランドの販売の大部分は、輸入自動車かSUVという状況になっていました。
Ramon Lopez長官は、「ホンダやいすゞに続いて日産のアルメーラの組立事業が停止したことは、地元の自動車組立産業が輸入急増の影響を受けていることを浮き彫りにし、セーフガード関税の恩恵を受けることになります」と述べました。
乗用車と小型商用車の輸入増加から国内自動車製造業を保護するために、輸入乗用車には1台あたり7万ペソ、小型商用車には1台あたり11万ペソの現金保証金の形で暫定セーフガード関税を課しています。
「2019年以降、日産はすでに欧米やその他の発展途上国で工場を閉鎖し、世界で約4万2500人の労働者を解雇しています」とLopez長官付け加えました。日産は、世界の生産能力をさらに20%削減するとともに、市場に提供するモデルの数も削減する計画だといいます。