DTIとConverge、中小企業向けAI拠点380㎡をマカティに開設
KEY POINTS
- ニュースの要点
- フィリピン貿易産業省(DTI)と光ファイバー大手Converge ICT Solutionsが、マカティのDTI庁舎内に380平方メートルの「AI and Scale-Up Center」を8月11日に開設した。MSMEはAIツールの無料研修を受けられ、スタートアップは自社のAI製品を検証できる。
- この動きの意味
- 通信事業者が「techco」への転換を掲げるなかで、政府庁舎の中に自社インフラを前提としたAI拠点を持ち込んだ。MSMEのAI導入という政策課題と、Convergeの法人向け事業開拓が重なっている。
- 今後の注目点
- 研修を受けたMSMEが実際にツール導入まで進むか。第2拠点が地方都市に出るか、マカティ1か所にとどまるか。
マカティにあるフィリピン貿易産業省(DTI)のフィリンベスト・ビル内に、380平方メートルの施設が開設された。AI時代に対応しようとする零細・中小企業(MSME)に、最新の技術動向と、それを事業成長にどう使うかを伝えるための場所だ。DTIによれば、この種の施設はフィリピンで初めてになる。
「AI and Scale-Up Center」と名付けられたこの拠点は、DTIと光ファイバー大手Converge ICT Solutionsの提携で作られた。8月11日に稼働している。
380㎡に研修と検証の機能
施設には共同作業スペース、専用の会議室、そしてアクセラレーターポッドが備わる。MSMEの経営者はAIツールの無料研修を受けられ、スタートアップは自社のAI製品をここで試すことができる。クラウド型のツール、サイバーセキュリティ支援、生産性向上のプラットフォームを組み合わせた環境も利用できる。AI関連のワークショップや実習も予定されている。
クリスティーナ・ロケ貿易長官は「このAI and Scale-Up Centerは、フィリピン企業がAIのような現代的な技術を試し、取り入れるための、現実的で手の届く入口になる」と述べた。「事業を拡大するには、使えるツールと専門家の助言が要る。それがあって初めて、着想が機能する解決策になる」。
「techco」を掲げるConvergeの狙い
Convergeは実業家デニス・アンソニー・ウイ氏が創業した光ファイバー接続の事業者で、通信を超えた「techco(テクノロジー企業)」への転換を掲げている。ウイ氏は物理的な拠点を作ることの意味をこう説明する。「AIは適切な基盤なしには育たない。インフラがなければAIは成り立たない。このセンターを通じて、AI導入の準備となる基盤を築いている」。
MSMEはフィリピンの事業所の大半を占めるが、AI導入となると資金も知見も足りないのが実情だ。政府が場所を出し、通信事業者がインフラとツールを持ち込むという分担は、その隙間を埋める現実的な形ではある。ただし研修施設は入口であって、導入が定着するかは別の話になる。1か所380平方メートルという規模で全国のMSMEをどこまで動かせるかは、今後の拠点展開と利用実績を見る必要がある。
SOURCES / 出典
- Philippine Daily InquirerメディアA new hub for small entrepreneurs to learn AIbusiness.inquirer.net
- Newsbytes.PHメディアDTI, Converge open AI center for Filipino businessesnewsbytes.ph
参考(本文の補足)
- Converge ICT SolutionsConverge ICT Solutions 公式サイト
- DTIDepartment of Trade and Industry 公式サイト
同じカテゴリーのNews
RELATEDこの動きを読み解くInsights
INSIGHTS2025年のフィリピン最大の資金調達は5億円。それを超えるお金が国外から来る理由
Forbes Asiaの「100 to Watch」に、フィリピンから2社が入りました。並べてみると、フィリピンで大きな資金を集めた会社には共通点があります。お金を出しているのが、ほぼ全部フィリピンの外の投資家です。理由は起業家の考え方ではなく、国内のベンチャーファンドの大きさにありました。
英語と安さで選ばれたフィリピンの画面に、世界の口座と診療記録が映っている
フィリピンのコールセンターが選ばれてきた理由は、英語が通じて安いことです。業界団体自身の資料がそう書いています。ところがそこに届いているのは、世界の銀行と医療のユーザーからの問い合わせでした。選ばれた理由と任されている中身が噛み合っていません。2年で2度、オーストラリア企業の顧客情報がマニラを経路に抜かれ、アナリストは「顧客はリスクを拠点の所在地で値付けする」と言います。
マニラで見つけた課題を4か国に広げたKitaが、シードで約7億円を集めた理由
新興国の貸し手向けに与信審査を自動化するKitaが、シードで450万ドル(約7億円)を調達しました。創業者はマニラ出身で、フィリピンの貸し手と働くなかで課題を見つけています。ただし会社はサンフランシスコにあり、稼働しているのはフィリピン・インドネシア・メキシコ・米国の4市場。公開されている顧客6社のうち、フィリピンの貸し手は1社です。この設計の違いが、値段の付き方を変えています。



