コロナ禍におけるフィリピンの水不足問題。終わりの見えないコロナと進まない水道設備の整備

世界中で多くの人が新型コロナウイルスの影響を大きく受ける中で、どうやってこの終わりの見えないウイルスと向き合っていくか、ということが全世界で問われています。ワクチン接種が始まった今でも最も重要なのは、各個人がそれぞれ必要な対策をすることであり、マスクをしたり手洗いをしたりソーシャルディスタンスを保ったりと、感染しないために各々ができることを辛抱強く続ける必要があるでしょう。
その中でも「手洗い」は最も有効な手段の一つであり、新型コロナウイルスが発表されてからWHO (World Health Organization) は「安全な水、衛生設備へのアクセスは、COVID-19パンデミックの際に健康を守るために不可欠である」「手をしっかりと洗って感染予防をしてください」と全世界に訴えました。
しかし、私たち日本人は何不自由なく十分な水を確保できる一方で、未だ世界では深刻な水不足が問題となっている地域が多くあり、感染対策が十分にできない地域も多くあります。フィリピンもその中の一つであり、貧困地帯だけでなく都市部での水不足も長年の問題となっています。
今回はそんなフィリピンにおける水不足問題について読み解いていきたいと思います!
世界の水不足問題

世界では未だに10人に1人の7.85億人が基本的な給水サービスが得られておらず、水不足の影響を受けている人々の数も29億人に登ると言われています。2030年の水需要量に対して利用可能な水資源量は40%といわれているこの慢性的な水不足の問題は、コロナウイルスの感染予防対策が必要な今、さらに深刻な問題となっています。 自宅で水と石鹸の両方を利用することができない人・・・世界人口の40%、30億人 手洗い設備や水、石鹸がない学校・・・47% (サブサハラアフリカでは79%) WHOは上記のデータを発表しており、この新型コロナパンデミック下で多くの人が水や衛生設備の不足により十分な感染対策が取れない状況であることがわかります。
フィリピンにおけるコロナと水不足
では、水不足が長年叫ばれているフィリピンにおけるコロナウイルスと水の状況について見ていきたいと思います。
フィリピン全体(2021.02.21時点)
| 感染者数 | 回復者数 | 死亡者数 |
|---|---|---|
| 55,700人 | 51,300人 | 11,829人 |
マニラ首都圏(2021.02.21時点)
| 感染者数 | 回復者数 | 死亡者数 |
|---|---|---|
| 22,600人 | 21,300人 | 4,577人 |
上記の通り、フィリピン国内で特にコロナウイルス感染者数が多いのはマニラ首都圏であることがわかります。こういった状況の中手洗いなどの感染症対策が益々必要とされ、マニラ首都圏では同時に水不足が深刻化しています。
政府は、マニラ首都圏およびその他のメトロポリタン上下水道システム(MWSS)サービスエリアに水不足が起こらないよう保証しており、2019年夏に680万人以上の人に影響を与えた水不足の危機が繰り返されないよう対策をしていると発表をしています。
しかし、実際のところ多くの人の元に未だ水が届いていないことが現実です。
ケソンシティとタギッグに住む人々は、12時間に及ぶ断水を訴えていたり、一部のマリキナやモンタルバンなどでは、断水されているか水の供給が弱く十分な水が確保できないという不満が多数出ています。また、特にアパートの高層階になると水が届かず、飲用または手洗い用の水が確保できず、濁った水であるという報告もあります。最悪の場合、数時間、数日、または最大3週間は水が全くないということもあるそうです。
マニラ水道民営化の失敗による影響

フィリピン統計局は、マニラ首都圏に住む家族は、2015年に毎月約668ペソ、つまり収入のほぼ5%を飲料水と水道サービスに使ったと報告しました。これは国連開発計画(UNDP)の推奨する「世帯収入に対して水に使う費用は3%以下であるべき」という数値を上回っています。
Water for the People Network(WPN)はまた、都市部の貧しいコミュニティの多くの家族が依然として月に1,000ペソ以上、または1日の収入の10%以上を水に費やしていることを発表しました。1997年、コンセッション方式に基づき首都上下水道局の経営が民間企業に委託され、マニラの水道が東西に分割された以降、水道料金はマイニラッドの下の西ゾーンで7倍に増加し (立方メートルあたり7.21ペソから48.53ペソ)、マニラウォーターの下の東ゾーンで10倍になりました。(立方メートルあたり4.02ペソから39.26ペソ)
2018年の時点で十分な衛生設備が整っている範囲は20%と低い数値にも関わらず、国民は20年以上にわたり環境および下水道料金を支払っています。実際に政府と水道会社の間のコンセッション契約により、企業は過去15年間で600億ペソ以上の利益を上げており、民間企業の支配により消費者は不利な立場に立たされてしまっています。
このように、マニラにおける水道民営化により国民は高い料金を払っているにも関わらず、水道設備の整備は遅れており、水不足がなかなか解消されていないことが長年の問題となっています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は「水不足問題」という壮大なテーマではありましたが、フィリピンの現在の状況と合わせて水不足問題の裏側など、簡単に読み解いてみました。
今回はほんの一部の情報のみしかお伝えすることができませんでしたが、もし少しでも興味がある方はこの機会に世界で起こっている問題について調べてみると面白い発見があるかもしれません。
最後におまけとしてWHO (World Health Organization) が発表した、綺麗な水道水も石鹸も手に入れられない場合の手洗い方法について載せてみたので、参考までに見てみてください!
【綺麗な水道水も石鹸もない場合の手洗い方法】

| 水 | 石鹸の代替品 |
|---|---|
| ・米とぎ水 ・綺麗な川、海水 ・洗濯物、食器洗いの水 ・野菜の茹で汁 | ・コーヒーの残りかす ・灰 ・塩 ・砂 ・やし殻 ・樹皮、葉、実 |
【参考】 ・1 in 3 people globally do not have access to safe drinking water – UNICEF, WHO ・Ensure sufficient, safe and accessible water during COVID-19 crisis ・MWSS: Metro Manila Water Supply is Safe from COVID 19 ・Handwashing and handwashing alternatives
同じカテゴリーのInsights
RELATED関連するNews
NEWS零細事業者の滞納を一度だけ帳消しに、2か月で6,234件の申請
内国歳入庁の一回限りの税額免除制度に、開始2か月で1,352事業者から6,234件の申請がありました。9月18日までに5,000件を承認し、対象となった税額と罰金は8,450万ペソ。納めた免除手数料は2,481万ペソです。対象は年商300万ペソ未満の零細事業者です。
ダバオのドリアン14トンが中国へ、主賓国として臨んだ博覧会で
ダバオ地方の輸出業者Raspina Tropical Fruitsが、中国・南寧の第23回中国ASEAN博覧会で広西の輸入業者と契約を結びました。生ドリアン14トン、13万人民元分です。フィリピンは今回、主賓国として313人の過去最大の代表団を送りました。
240億ペソの請求に対し回収は8,000万ペソ、エネルギー省は姿勢を崩さず
エネルギー省が、レビステ下院議員が創業したSolar Philippinesとその関連会社に求める240億ペソ(約598億円)の請求を維持しています。2024年12月以降の解除通知は27通。一方で回収できたのは8,000万ペソにとどまります。会社側は「公金は使われていない」と反論しています。
