コロナのパンデミックにより移動が制限されたことで、フィリピンでは「Connectivity(接続性)」というキーワードの重要さが増してきました。
パンデミックとの戦いが続き、経済・人々がニューノーマルを迎える中、「Connectivity(接続性)」を高めるために通信・交通・物流の各分野は、消費者の需要の増加・変化に対応していくことが期待されています。
フィリピンのインターネット事情
コロナの影響で、フィリピンでも多くの人がリモートワーク、オンライン学習、キャッシュレスバンキングなどへのシフトを余儀なくされる中、インターネットへの接続はもはや贅沢品ではなく必需品となっています。
世界銀行のブルネイ、マレーシア、フィリピン、タイのカントリーディレクターであるNdiame Diop氏は、インターネット接続はデジタル経済の基盤であると考えています。
Diop氏は、フィリピン経済のデジタル化に関する声明の中で、「フィリピンのインターネット接続は特に農村部では限られており、利用可能な場所だとしてもサービスは比較的高価で質が低い」と問題点を述べています。
フィリピン国家経済開発庁と世界銀行の共同報告書が引用した数字によると、フィリピンのモバイル・ブロードバンドの速度は16.76Mbpsで、世界平均の32.01Mbpsを大きく下回っています。また、3G/4Gスマートフォンの平均ダウンロード速度は7Mbpsで、東南アジア地域全体の13.26Mbpsを半分近く下回っています。
フィリピンの通信速度は、改善の傾向にありますが他国と比較するとまだまだ不十分といった形となっています。 SPEEDTESTを運営するOoklaは、フィリピンの固定ブロードバンドのダウンロード速度が過去4年間で477%速くなったことを明らかにしました。 Ooklaは報告書の中で、固定ブロードバンドを利用し ...
フィリピンのインターネット回線速度が2016年比で477%増を記録!
フィリピン最大級の通信事業者であるGlobe Telecomは、「業界を超えて協業し、今後3年の間に5~6万本の通信タワーを建設することができれば、フィリピンの通信速度は改善するだろう」とコメントしています。
また、同じくフィリピンの大手通信事業者であるLDTは、「長い間、通信は最前線のニーズとして存在しており、近い将来の当社の目標は明確です。我々は顧客中心主義を堅持し続け、消費者の考え方などの様々な変化に適応し続けていきます」と述べています。
フィリピンの交通事情
数ヶ月間の厳しいロックダウンから徐々に人々の移動も再開され、「個人の移動」に関する議論がされる中、交通機関の変革が求められるようになってきました。
フィリピンでは長い間、ジプニー(Jeepney)が国民の足となっています。 「King of the road」とも言われるフィリピンを代表する乗り物、ジプニー。タクシーよりも数倍も安価なこの乗合バス・ジプニー(Jeepney)は、フィリピン国民の足として多くの人に利用されて ...
フィリピン国民の足・ジプニー(Jeepney)とは?歴史や由来を徹底解説!
JLL PhilippinesのカントリーヘッドであるChristophe Vicic氏は、「公共交通指向型開発(TOD)が国の交通問題に対する答えの一つとして機能し、最終的には交通に関する問題の改善に向けて国を導く」と提案しました。
※公共交通指向型(都市)開発(TOD:Transit-Oriented Development)とは、公共交通機関に基盤を置き、自動車に依存しない社会を目指した都市開発
「以前の状態に戻る低いですが、移動する人々は常に存在します。TODは通勤時間を短縮し、家計支出を削減することで、人々に寄り添うことにもなる」と付け加えました。
TODは歩行者を優先した都市デザインが特徴で、駅を作るとともに、駅に面した公共広場を設けています。これらの特徴を備えたTODは、持続可能で環境に優しいものになることが期待されています。
マッキンゼー中国のDr. Ting Wu氏は、「世界各国で、交通手段に大きな変化が現れることが予想されます。ある国は公共交通機関に、ある国は電動自動車・輸送車に、またある国は共有型マイクロモビリティに向かっています」と述べています。
物流を後押しするeコマース
電子商取引が増加している中、物流の存在は今まで以上に重要なものになっています。その為、この分野の安定した成長が期待されています。
「物流業界は幸運な業界の一つです。コロナによるオンラインショッピングの取引急増により、このセクターは今後もまだまだ成長していくでしょう」と、Lobien Realty Groupの執行役員Sheila Lobien氏は述べています。
Lobien氏は、電子商取引の成長を補完するためには、倉庫施設や物流サポートが必要であることと指摘し、物流分野は今後3年間で9%成長すると予測されていると付け加えました。
eコマースへの中小企業の参入が増えたことにより、物流分野の顧客基盤が固まってきました。また物流は、安全性を高めつつも、配送スピードの革新(当日配送など)も期待されています。
また、国内に限らない越境ECの実現の観点からも物流はキーとなっており、フィリピンの物流は世界のオンライン販売者の変化し続けるニーズを満たすビジネスソリューションを提供していかなければなりません。
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