フィリピンの組織がデジタルトランスフォーメーションを推進する上で、生体認証、AI、デジタルIDの3つが重要な分野であると言われています。
フィリピンはコロナの影響で様々な形でのロックダウンによる制限が続いていますが、コンサルタント会社TransUnion Information Solutionsの最近の調査では、デジタルシフトは、コロナ禍のみならず今後のフィリピンのビジネスにとって重要なものになると主張しています。
フィリピンは以前、情報格差(デジタルデバイド)の改善を早いペースで推進することを躊躇していました。しかし、昨年2019年から、フィリピンのビジネスリーダーの大多数が、戦略を考える上での必須事項としてデジタルトランスフォーメーションに注力するようになりました。
そんな中、コロナウイルスが全世界で流行し、超現金社会なフィリピンは多くの課題に直面しました。
しかし、フィリピンでは予想外にもキャッシュレスやデジタル決済手段の導入や、店舗での買い物から電子商取引への移行がスムーズに進みました。
また、フィリピンの中小企業(SME)は、デジタルシフトをしなければコロナ禍で生き残ることが難しいと予想されていました。
この国の中小企業のエコシステムは、250万人以上の雇用を支えています。
TransUnionの「New Dimensions of Change:Building Trust in a Digital Consumer Landscape」は、ブラジル、カナダ、チリ、香港、インド、フィリピン、南アフリカ、英国、米国などの1,610人の経営者を対象にしたレポートであり、そこには115人のフィリピンの経営者も含まれています。このレポートでは、各国の組織がクラウドサービスや電子決済などのデジタル化をどのように取り入れているかがまとめられています。
TransUnionフィリピンのCEOであるPia Arellano氏は、「コロナはデジタルトランスフォーメーションを劇的に加速させ、フィリピンの経営者の78%が企業間の取引をデジタルへ移行をしました。しかし、取引を行う二国間のデジタル上での信頼を構築する上での障壁・リスクを取り除くことができなければ、このようなデジタルの進歩はすべて台無しになってしまうでしょう」と話しています。
「例えばこの調査では、コロナの影響で自社の取引プロセスをデジタルなものに変更したと答えたフィリピン人経営者の70%が不具合を経験している」と付け加えました。
システム移行の問題やサイバーセキュリティの脅威など、デジタル化を進める上での課題やリスクは多く存在します。これらに対処する為に、基本的なサイバーセキュリティ対策を導入することはもちろん、不正取引に対する防御策を準備しておくことも、優先的に取り組む必要があります。
フィリピンの約92%、世界の経営者の85%が、今後10年以内に支払いの大部分の認証にバイオメトリクス(生体認証)が使用される可能性が高いと回答しています。フィリピン人回答者の約46%、世界全体の回答者の約43%が、不正検知とセキュリティの向上がAIを利用する最大のメリットであること言っています。
また、経営者の大多数(フィリピンでは84%、世界的には79%)が、のデジタルIDが消費者取引における詐欺防止に役立つと考えています。
世界の経営者の10人に7人、フィリピン人経営者の77%が、デジタルIDによって低所得者層がこれまで受けることができていなかった消費者サービスを利用できるようになると考えています。
フィリピン統計局によると、2020年の第4四半期にフィリピン人のデジタルID「Phil ID」の登録が開始されます。「消費者の信頼を確保することは、詐欺を防ぐことから始まります。私たちの調査では、バイオメトリクス、AI、デジタルIDは、消費者の詐欺防止のための重要な3分野だと結論付けています。これらは当面の間、信頼される商取引を行う上での鍵を握っています」とArellano氏は述べています。
【参考】
techwireasia.com