2020年11月、Forbes Asiaの「Heroes of Philanthropy(慈善活動のヒーロー)」が発表され、アジアを代表する慈善家の一人としてフィリピンの大富豪で元上院議員のManny Villar(マニー・ビラール)氏が選ばれました。
第14回目となる2020年は、アジア太平洋地域が直面している問題に取り組む慈善家を表彰する為に、数十人の候補者の中から15名の慈善活動家を選出しました。
今年の最大規模の寄付の中には、コロナウイルスに関連したものも多くあり、病院の建設、保護具の提供、医学研究への資金提供などがありました。
例えば、香港の李嘉誠氏は、自身の財団を通じて2億5000万香港ドル(3,200万ドル)を様々な形で支援しており、その中には、中国のコロナの発生源である武漢のコミュニティへの1億香港ドル(1,280万ドル)も含まれていました。
ファーストリテイリングの柳井正氏は、日本の2つの大学に112億円を寄付しましたが、その大半は病気の研究やコロナウイルスのワクチン開発費用に充てられています。
Forbes Asiaは、個人的な財産から寄付をした15人に焦点を当てています。コロナの時代に、多くの慈善活動家が病院を建設し、医学研究に資金を提供し、個人用防護具(マスクなど)を提供しています。
そんな中、フィリピンで唯一選出されたのが、Manny Villar氏です。
70歳のManny Villar氏は、推定64億ドルの資産を持ち、マニラのセント・ジュード・カトリック学校に2ヘクタールの土地を、母校であるフィリピン大学に5ヘクタールの土地を 「イノベーション・キャンパス」を建設するために贈ったと報じられています。
この2つの土地を合わせると、80億ペソ(1億6500万ドル)の価値になります。
現在億万長者の彼ですが、元々裕福な家庭で育ったわけではありません。
マニラのトンド地区で貧しく育ち、母親は魚売りの手伝いであった為収入も乏しく、一時は小学校を中退したこともあります。一家はスラム街の小さな賃貸アパートに住んでいました。
献身的に努力を続けた彼は、国内トップレベルのフィリピン大学に入学。卒業後、会計士・金融アナリストとして働き、その後不動産の業界で大成功を収めました。立ち上げた会社は20万戸以上の家を建設し、フィリピンで最も裕福な人物となったのです。
「教育は人々を貧困から救うことができます。教育は人々を貧困から救い、尊厳と仕事を提供してくれます」と、Forbes Asiaに語っています。
前述の土地の大きい寄付以外にも、彼は教会、貧困を緩和するプログラム、フィリピンの4つの学校の新しい施設、そしてコロナ関連の機関、コミュニティに寄付をしています。
昨年2019年には、フィリピンから女優のAngel Locsinさんと実業家のHans Sy氏が、Forbes Asiaで表彰されました。Locsinさんの社会問題への献身はよく知られており、地震の被災者に数百万ドルを寄付したり、自らマラウイに行って避難民を支援したりしています。一方、Sy氏は、癌に苦しむ子供たちのための家「Child Haus」を通じて、癌に苦しむ家族への支援を行ったことによって表彰されました。
【参考】
forbes.com
esquiremag.ph