シンガポールを拠点に新興市場をターゲットにしたデジタル・バンキング・ネットワークを展開するTymeは、Apis Partners Growth Fund IIとフィリピンのGokongweiファミリー率いるJG Summit HoldingsからシリーズBで1億1,000万ドルを調達したことを発表しました。
今回の資金の一部は、親会社である南アフリカのTymeBankが東南アジアに進出する計画の一環として、Tymeがフィリピンでデジタル銀行を立ち上げるために使用されます。
フィリピンにおける新しいデジタル銀行の枠組みの発表に伴い、JG Summit HoldingsとTymeは、規制当局であるフィリピン中央銀行(Bangko Sentral ng Pilipinas/BSP)にデジタル銀行のライセンスを申請し、銀行口座を持たないフィリピン人やサービスが行き届いていないフィリピン人の金融アクセスを拡大する予定です。
Tymeは、「手頃な価格で広く」金融アクセスを求める顧客のニーズに応えることができると主張しています。
「デジタル・バンキングは、世界的に、そしてASEANの中でも次の成長分野であると考えています。今回の投資は、Gokongweiグループがデジタル事業への進出を加速させるだけでなく、Tymeのサービスをより深く知ることができ、彼らの技術をフィリピンに適用して成功を収めることを検討する上での良いきっかけとなります」と、JG Summit HoldingsのCEOであるLance Gokongweiは述べています。
「フィリピンでは、人口の大多数の人々がより良い金融サービスを受ける為に、デジタルバンキングへの取り組みが進んでおり、これは我々のビジネスとしての目的を達成するために大いに役立つでしょう」と付け加えました。
Tymeのデジタル・バンキングへの進出は、フィリピン中央銀行がデジタル銀行の設立に関するガイドラインを発表した後、ライセンスへの関心が高まったことを背景にしています。
フィリピン中央銀行のChuchi Fonacier副総裁は、デジタル銀行の設立に関するガイドラインを発表して以来、これまでに5件の問い合わせを受けていると述べました。
フィリピン全体として、デジタル銀行に前向きな未来を描いていると言えます。
アジアとヨーロッパの8つの市場でフィンテックサービスを提供している企業グループであるUnaFinancialのレポートでは、フィリピンがアジア太平洋地域で「巨大で潜在的な成長の可能性を持つ市場の一つ」であることが明らかになりました。
この結論は、オンラインバンキングの魅力とその分野内での競争力という2つの基準に基づいた分析に基づいています。レポートによると、東南アジアに位置するフィリピンは、インドやシンガポールと同程度の「市場の魅力」を持っているといいます。