近年、ソーシャルビジネスという言葉をよく耳にするようになりました。
フィリピンでは、貧困や環境問題などが生活の中で目に見える範囲で存在しているため、課題を解決しようという動きも多くみられ、課題解決のためのソーシャルビジネスに注目が集まっています。
定義はそれぞれあるが、基本的には利益の追求と同時に、社会問題の解決を目的としたビジネスを指す。
平均年齢約24歳と、フレッシュで活気があるからこそ、ユニークなアイディアのビジネスが多く存在するフィリピン。今回はそんな、フィリピン発のソーシャルビジネスを紹介していきます!
フィリピン発!社会を良くするソーシャルビジネス8選
Human Nature(ヒューマン・ネイチャー)
フィリピンで最も有名なソーシャルビジネスで、最も有名なフィリピン発のコスメティック会社ともいえるHuman Nature。100%オーガニックのヘアケア商品やコスメを展開しており、お土産として日本人旅行者にも大人気です。
イギリスでゲーム開発会社を設立し、大成功をおさめた創業者のDilan氏は、自分探しのためにフィリピンでボランティアに参加したそうです。その際、貧困を目の前にした Dilan氏は寄付を申し出ましたが、NGOの創設者から帰ってきた言葉は、「寄付はいらないから、もっと彼らと一緒に過ごしてみてください」というものでした。
以来、貧困層の人々とともに過ごしながら、ビジネスの構想を考え、パートナーのフィリピン人女性とともに「Human Nature」を創業しました。
製造や販売のスタッフとして貧困層から採用をおこなったり、商品の原材料のすべてをローカルの農家から公正な値段で買い取るなど、さまざまな形で社会貢献を実現しています。社内の最低賃金は、法律で定められた最低賃金の2倍に設定し、何があっても従業員をクビにしないポリシーを定めるなど、ホワイトな制度を保ち、商品の質が高いだけでなく社風としてもフィリピンでは類をみない企業となっています。
First Harvest(ファーストハーベスト)
2013年に設立された、ピーナッツバターをメインの商品としたソーシャルビジネスです。元々はフォトグラファーとして活動しながら、貧困をなくすためのボランティアに参加していた、台湾系フィリピン人のTajen氏はピーナッツをミキサーにかけながら、これを雇用創出としてビジネスにできるのではないかと思いついたそうです。
自給率が低いフィリピンで、自国の作物を消費することを目指すため、フィリピンの土地で生産しやすいピーナッツを使用しています。さらに製造過程で貧困層の人々を雇用し、原材料から販売過程すべてで「社会に良いこと」を実現しています。
瓶に詰められた、香り高いピーナッツバターは朝のパンのお供に最適です!
Theo&Philo(テオ&フィロ)
フィリピンで初めてのビーントゥーバーのチョコレートブランドであるTheo&Philoは、日本の蔦屋書店などで購入できます。マンゴー味やフィリピンの家庭料理のアドボ味など、風味もフィリピンならではの味わいが並び、思わず手に取ってみたくなります。
パッケージのデザイン性も高く、パッケージそのものからは、ソーシャルビジネスかどうかはわかりません。しかし、このチョコレートの製造過程で、多くの課題を解決しています。まずは、原材料のすべてがフィリピン産で、フィリピン現地の農家と公正な価格でカカオやフルーツを取引しています。また、製造工場でも貧困層への雇用を生み出しており、一部の利益は貧困層家庭の子どもたちが学校に行くための奨学金に当てています。
フィリピンでもすでに人気の高いTheo&Philo、ぜひ自分へのご褒美やプレゼントとして購入してみてください!
Bayani Brew(バヤニブリュー)
NGOスタッフが貧困地域を訪れた際に、ある女性が近辺の植物を使ってアイスティーを作って出してくれたことから、このビジネスが生み出されました。常夏のフィリピンで、人々の喉を潤してくれる、ヘルシーでフレッシュな飲み物です。
今でも彼女とともにレシピを開発し、レモングラスやモリンガなど、フィリピンで豊富に採れる植物を使ったアイスティーを販売しています。NGOとの協業のもと、貧困支援地域に製造工場をもち、雇用を創出しています。
多くのカフェやスーパーに置かれていることはもちろん、大手LCC航空会社エア・アジアのフライトでもBayani Brewを手に入れることができます。今やフィリピン発の国民的飲み物です。
MAD Travel(マッド・トラベル)
旅を通して不平等をなくすことを掲げ、サステナブルツーリズム(持続可能な観光)のプラットフォームとなっている旅行会社です。2018年には日本でグッドデザイン賞を受賞しています。
ツアー開催を通して、先住民族の雇用創出や文化の発信をおこない、課題を解決するサステナブルツーリズムを促進しています。例えば、訪れたツアー参加者に対して食事を提供するスタッフや、案内をするツアーガイドとして先住民族の人たちが雇用機会を得たり、ツアー中の植林を通して環境課題啓発をおこなうなど、旅人に体験をお届けしつつ、課題を解決するという、新たな旅のカタチを創っています。スタディツアーやボランティアとは異なり、課題を目にすることよりも、フィリピンの文化を「楽しい!」と思ってもらえるようなツアーを企画し、世界中から旅人が集まっています。
Bambike(バンバイク)
フィリピン産の竹と、フィリピン現地の職人の手によって作られた自転車をプロダクトとするBambike。フィリピン産の竹を活かし、フィリピン国内の産業を盛り上げていくためにスタートしました。また、職人として多くの貧困層を雇用し、手に職をつけることができる人々を増やしています。
また、フィリピンの首都マニラの観光名所、イントラムロスにて、実際にこの竹の自転車に乗って、サイクリング観光体験ができます。二酸化炭素を排出しない形で観光が可能で、ツアーそのものも環境負荷に配慮するスタイルをとっています。
イントラムロスはスペイン統治時代の街並みが残っており、スペイン調の建築やフィリピン植民地時代の歴史を知ることができます。そんな地区を自転車で回りながら、ツアーガイドが歴史について解説してくれます。ぜひBambikeに実際に乗ってみたい方は、マニラに訪れた際に体験してみてくださいね!
Messy Bessy(メッシーベッシー)
虐待や人身売買の被害にあった若者、犯罪を犯して投獄された若者たちが更生するために創設されたMessy Bessy。フィリピンのショッピングモール等では必ず見かける生活用品ブランドで、皿洗い用洗剤やベビーケア商品、洗濯用洗剤など、幅広く商品展開しています。特徴的でユニークなイラストのパッケージが特徴的で、とても手に取りやすいです!
Messy Bessyのプロダクトの製造や輸送、販売をおこなう過程で、若者たちに雇用機会を提供しています。さらに、若者たちが大学や高校の卒業資格を得られるよう、学費やアルバイト機会の支援も同時におこなっています。
AKABA
AKABAは、フィリピンの主に地方の先住民族の人々の雇用を生み出すバックブランドです。先住民族由来の伝統織物を使用することで、民族の人々の尊厳を保ち、同時に収入の向上をはかっています。おしゃれなリュックやハンドバックに仕上がっていて、特に都市部で人気を誇っています。ぜひインスタグラムをチェックしてみてくださいね!
法外な賃金を強いられることがほとんどの先住民族の人々。しかし、AKABAでは法律で定められた最低賃金以上の賃金を約束し、さらに雇用者の家族の健康保険や教育もサポートしています。
まとめ
安定した職業に就けない人々が約20%もいるといわれているフィリピン。やはり雇用創出を通した貧困削減を解決するためのソーシャルビジネスが多い印象を受けました。
しかし、チャリティや社会貢献職が強いというよりも、スーパーやショッピングモールで日常的に見かけるものがほとんどで、多くの人がソーシャルビジネスであることを知らずに手に取るようです。それだけ商品としての質も高く、世界に通用するプロダクトです。
発展途上国といった印象が強いフィリピンですが、平均年齢も若く、イケてるソーシャルビジネスは日々生まれています。日本に進出している商品も多くあるので、みなさん是非手にとってみてください!