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ジョリビーの歴史と成長戦略を徹底解説!フィリピンNo1のファストフード店になるまで

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フィリピンに行ったことのある人なら必ず知っているファストフード店Jollibee(ジョリビー)

フィリピンの町を歩けば至る所にあの赤い看板と蜂のマスコットキャラJollibee君が現れ、いつも老若男女たくさんの人達で賑わっています。某有名ファストフード店もかなわない、フィリピン人のソウルフードともいえるJollibeeですが、どのようにしてこれほどまでにフィリピン人を魅了し、フィリピンNo.1のファストフード店に成長したのでしょうか?

今回はそんなJollibeeの知らなかった歴史と成長戦略について紐といていきます!

Jollibee(ジョリビー)とは?

フィリピンに行ったことのない人ならJollibeeを初めて耳にした人も多いのではないでしょうか。残念ながらJollibeeはまだ日本には進出していないためフィリピンに関わりのない人は知らない人がほとんどかと思います。しかし、実際フィリピン以外でもアメリカやマレーシアなど多くの国に進出しており、フィリピン国外に約270店舗を構えています。

店舗数:約1150店舗
海外進出:約270店舗(マレーシア、ベトナム、香港、カタール、ブルネイ、シンガポール 、ドバイ、アメリカ、カナダ、イギリス、イタリア等)

競合店であるMcDonald'sのフィリピン国内の店舗数は640店舗ということを比べると、Jollibeeがどれほどフィリピンでシェア率が高いかということが読み取れます。

また、フィリピン国内のChowking(中華料理)、Greenwich(ピザ)、Red Ribbon(ケーキ)、Mang Inasal(フィリピン料理)などの人気レストランもJollibeeグループ(JFC: Jollibee Foods Corporation)の傘下であり、おなじみBurger Kingの株式も54%保有しています。このようにJollibeeグループはJollibeeの拡大のみに留まらず、フィリピン国内のファストフード市場の56%をコントロールし、グループ全体で売上高が約3200億円というほどの大きな力を持っています。

JollibeeにはYumburgerやJolly Spaghetti、Fried Chickenなどの看板メニューを筆頭に1度食べたら不思議とまた食べたくなるようなメニューで溢れています。実際にどんなメニューがあるのか気になった方はこちらからどうぞ!

それでは簡単にJollibeeの紹介が終わったところで、ここからはJollibeeの歴史と3つの成長戦略についてみていきたいと思います。

History-Jollibee

Esquire Philippinesより引用

中華系移民者が始めたアイスクリーム屋さんが起源?

1975年、華僑フィリピン 人である22歳のTony Tan(トニー・タン)は家族でマニラのケソン市にてアイスクリーム屋を始めました。彼らは元々中国で貧しい生活をしていたため、より良い生活を求めてフィリピンにきた移住者でした。
アイスクリームのフランチャイズは成功していましたが、さらなるシェア獲得のために顧客からの「温かいご飯も提供してほしい」という要望に応えるべく、ハンバーガーやサンドウィッチなどの温かいご飯も提供し始めました。そうすると温かいご飯のほうがアイスクリームよりも評判がよく売り上げも伸びたため、1978年にはアイスクリーム屋からファストフード店に切り替えることを決意し、今のJollibeeの前身であるファストフードレストラン「Jolibe」が誕生しました。当時はマクドナルドもフィリピンに進出しておらず、ハンバーガーを食べられるレストランはとても珍しいものでした。

Jollibee mascots

The Pinoy Informerより引用

【戦略①】名前をJolibeからJollibeeへ変更

アイスクリーム屋からファストフード店へと切り替える中で新しい名前が必要だったTonyは、「Jolibe」と名付けました。しかし当時コンサルタントとして経営をアドバイスしていたManuel Lumba(マヌエル・ルンバ)は、名前にJolly Bee(愉快な蜂)という意味を与えるため「Jollibee」とスペルを変更することを提案しました。
そして、フィリピン人は一生懸命働き、忙しくても常に幸せでいる蜂のようだというメッセージを込めて、蜂をモチーフにしたJollibee君というマスコットキャラが誕生しました。今ではお店を象徴するマスコットキャラとして子供たちに絶大な人気を得ており、Jollitownというテレビアニメも放映されました。この名前変更とそれに伴い誕生したJollibee君の存在は、ファストフード店をより身近なものに感じさせ、多くの世代に愛されるための大事な役割を今日も担っています。

jolibee-chicken

THE SWEET EDGEより引用

【戦略②】地域に根付いた味付けとメニュー作り

1981年にはMcDonald'sもフィリピンに参入しましたが、Jollibeeはフィリピン人好みな味付けでターゲットをフィリピンに絞っていたため、「アメリカのファストフード」としてのMcDonald'sが現れてもJollibeeの絶大的な人気は揺るぎませんでした。例えば、子供から大人までみんな大好きなJolly Spaghettiは一般的に想像するスパゲッティとは一風違います。
大きな違いは、一般的なスパゲッティに使われるトマトケチャップの代わりにバナナケチャップという甘いケチャプを使っており、甘いもの好きなフィリピン人の舌を虜にする唯一無二の味となっているということです。
また、海外進出の際にも進出国の食文化にローカライズし、例えばベトナムではチリチキン、ブルネイではナシレマッという国民食などを提供しています。このように、「ファストフード=ハンバーガー」といった固定概念に囚われず、それぞれの国に根付いたメニュー作りや店作りをしていることが世界中でJollibeeが受け入れられ愛されている秘訣と言えます。

Jolibee-world

ALL OUTより引用

【戦略③】フィリピン人移民者が多く住む地域へ海外進出

Jollibeeは海外進出する際に、まず「フィリピン人移民者が多い場所」に店を構え、顧客を確実に獲得します。Jollibeeのwebサイトでは”Jollibee is more than home for them” (フィリピン人にとってJollibeeは家庭以上の存在)と述べているように、子供の頃から食べ、慣れ親しんだJollibeeの味は、海外で生活するフィリピン人移民者にとっては故郷を思い出す大切な存在なのです。
そのため、海外で新しい店舗がオープンする度にその地域のフィリピン人移民者が多く訪れ、新拠点でも確実に顧客を獲得することができます。そうして土台を固めていき、ある程度ローカルの顧客が半分占めるほどまで増えてきたら、前述したように地域に根付いたメニューを提供しローカライズを強め、店舗数を徐々に増やしていきます。このように、フィリピンで圧倒的なシェアを占めているという強みを海外進出の際にも活かし、出稼ぎなどで海外に移民する人が多いフィリピン人の特徴をおさえることで、海外進出がここまで成功しているのです。

Jollibeeのこれから

Jollibeeグループ(JFC: Jollibee Foods Corporation)は将来的には売上の半分がオンライン注文によるものになると見ており、テクノロジーの専門分野に投資を拡大しながらシステム面を更に強化していくと説明しています。
現在新型コロナウイルスの影響で大きなダメージを受けていることは事実ですが、システム面の強化によりテイクアウトやデリバリーサービスを活用してフィリピン人の食生活をより一層支えていくことになるでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回はフィリピン人のソウルフードとも言われるJollibeeについて、創立から現在までの歴史や成功の秘訣などを紐解いてみました。今日ここまで多くの人に愛されるお店にまで成長したのは、常に顧客第一で考え、固定概念に囚われず変革を起こし続けたからこそだと思います。
元々アイスクリーム屋ですでに成功をおさめていたにも関わらず、顧客の要望に応えてハンバーガーなど温かいご飯も提供し始めたり、その土地の人の味覚やニーズに沿ったメニュー作りをしたりなど、素早くて高い順応力があるJollibeeだからこそ、フィリピンのみならず世界中でシェア拡大に成功しているのでしょう。「フィリピンを制覇した後は、世界でTop10の会社になる」と熱い思いを語るTony。Jollibeeの今後がとても楽しみです!

さて、Jollibeeを知っていた人も知らなかった人もフィリピン人を虜にするあの味を一度食べてみたくなったではないでしょうか。近いうち日本に進出するなんて噂もありますが、それがいつになるかは定かではありません。
甘いスパゲッティやサクサクのチキン、チーズたっぷりのホットドッグを食べる日がやってくることを楽しみにしててください。でも、それまで我慢できない人は是非フィリピンへ一度遊びに行って、Jollibeeを訪れてみてはいかがですか?

【参考】
Why is Jollibee Called Jollibee?
Jollibee's global expansion plan is being guided by these two main strategies
Jollibee Foods: conquering the world stage
Jollibee closing 255 stores worldwide after losing S$336 million due to Covid-19
Pandemic knocks off P12 billion from Jollibee in H1 2020

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