フィリピンを拠点とするベンチャーキャピタルのKickstart Venturesは、将来的にユニコーン企業になりうるスタートアップを支援し、2億米ドルのファンドを通じて東南アジア全域に進出する企業を支援しようと計画しています。
「東南アジアには6億5,000万人の分のビジネスチャンスがあります。フィリピン市場だけではなく、東南アジア全体の市場のニーズを考えるフィリピン企業が増えることを期待している」と、Kickstartの副社長であるYao氏は語っています。
2012年に設立されたKickstartは、フィリピン最大の通信事業者のGlobe Telecomの完全子会社です。
最初のファンドは240万ドルでスタートし、2つ目のファンドは5,000万ドルという規模でした。
アーリーステージから成長段階のテック系スタートアップに投資を行うKickstartは、フィリピンの30社を含む世界42社を支援してきました。
投資対象は、エンタープライズソリューション、メディア、コンテンツ、広告、ヘルスケア、スマートリビングのほか、エネルギー、水、廃棄物管理など多岐に渡ります。
ポートフォリオには、Wattpad、C88、インドネシアのユニコーンのGojekが買収したCoins.phなどがあります。
また、2019年、Globeの大株主の1つであるAyalaは、1億5,000万米ドルをVC事業に割り当て、Kickstartと連携しCVCファンドの運用を開始しました。(詳しくはこちら)
こちらのファンドは、オンデマンドサービス、IoT、フィンテック、ブロックチェーン、eコマース、AI、機械学習、ロボティクス、ビッグデータとアナリティクス、クラウドコンピューティングなどの分野のスタートアップを支援することを目指しています。
フィリピンに限らずグローバルに投資を進め、シリーズA~Cの企業に200万~1,000万米ドルを投じることを目標としています。
フィリピン企業がユニコーンになる可能性を高めるには、フィリピン人全体がデジタル化にどれだけ早く順応するかにかかっています。
「より多くのフィリピン人がオンラインでの取引に慣れていき、デジタル経済を構築していく必要があります。また、多くのスタートアップはフィリピン以外の国に進出する必要があります。東南アジアのユニコーンの多くはインドネシアやシンガポールから来ており、マレーシアにはGrabという強力な企業がいます。」とYao氏は語ります。
フィリピンで資金調達を受けているスタートアップの数が少ないのは、文化的・経済的要因に起因する部分もあります。
フィリピンはVC投資において東南アジアの同業他社に遅れをとっており、2018年にはスタートアップ企業が調達した資金総額が2880万米ドルと、東南アジア諸国の中で最も少ない金額を記録しました。
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【参考】
techinasia.com