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ユニコーン企業が誕生しない。フィリピンのテック系スタートアップが苦戦している理由

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フィリピンは、東南アジアで2番目に人口が多い1億600万人の国です。平均年齢は24.4歳で、若いパワーが溢れています。
しかし、フィリピンのスタートアップ界隈で大きな成功話を耳にすることは少ないです。

なぜフィリピンのスタートアップシーンは、シンガポールやインドネシアのような勢いがなく、苦戦しているのでしょうか?
本日はその理由を紐解いていきたいと思います!


東南アジア諸国と比較するフィリピンの現状

過去10年間で、東南アジアでは投資が急増しています。
経営コンサルタント会社ベイン&カンパニーのレポートによると、ベンチャーキャピタル(VC)の投資案件は2012年の126件から2017年には524件と4倍に増加しています。

インドネシアのGojekやシンガポールのGrabが最も有名な例として、ユニコーンと呼ばれる評価額10億ドルのスタートアップが輩出されています。

フィリピンのスタートアップは、GojekやGrabのように注目を集めることはできませんでした。
フィリピンの新興企業は東南アジアの企業に遅れをとっており、2018年はわずか3,130万ドル相当の取引に留まっていました。

この数字はインドネシアの29.3億米ドルの10分の1タイ1億1460万ドルの約3分の1であり、ベトナムの3990万米ドルにも及びません、

フィリピンで唯一ユニコーン企業であると見られている、高級プレハブ住宅に特化した不動産会社であるRevolution Precraftedは、かなりレアなケースとなっています。

フィリピンのスタートアップシーンが盛り上がらない理由

パフォーマンスの低さは、この分野におけるフィリピンの経験の浅さにも起因していると考えられます。
フィリピン最大のベンチャーキャピタルであるKickstart VenturesのCEOのNavarrete氏によると、資金調達のためのピッチの多くは、シリコンバレーで成功したスタートアップ企業のコピーだったと言います。

「経験の浅い創業者が、投資家が資金提供を止めた瞬間に規模拡大に失敗し、あまりにも早い段階で諦めてしまうスタートアップをたくさん見てきました」とNavarrete氏は語っています。

「配当金と株主資本利益率を求める地元の投資家に会ったことがある」と、スキルマッチング・求人プラットフォームのKalibrrのRivera氏(CEO)。
しかし、Kalibrrはこれまでに900万ドルを調達していますが、外国人投資家が資金の大部分を提供しています。

フィリピンでは、スタートアップのコミュニティを理解し資本を提供してくれる投資家は、まだまだ少ないのが現状です。

インキュベーター・QBOフィリピンによる現地のスタートアップエコシステムに関する調査によると、マニラを含むフィリピンの4つの主要なスタートアップハブで、正式なVCやエンジェル投資家が合計100人未満であることが明らかになりました。

多くのフィリピン人にとっての目標は、海外に出ることか、他人のビジネスのために働くこととなっています。

実際に、フィリピンの経済に大きく貢献しているのは、海外のフィリピン人労働者からの送金と、100万人以上を雇用する230億ドル規模のアウトソーシング産業です。

起業はフィリピン人にとって第一の選択肢ではありません。多くの人がより安定した道を求めています。

動き出した大企業と政府。これからどうなるか?

「政府やコミュニティにフィリピンの可能性を理解してもらうためには、フィリピン現地で圧倒的な勝者が必要です」とNavarrete氏は述べています。

これは、挑戦しているスタートアップがまったくないということではありません。

2019年1月には、Gojekが、フィリピンで有名なビットコイン取引所とモバイルウォレットであるCoins.phの過半数の株式を取得しました。
Coins.phは、銀行口座を持たない人のための代替金融サービスで、中央銀行によると人口の77%が利用しています。

2014年に開始されたスタートアップはタイに拡大し、2018年時点で500万人以上のユーザーを抱えていました。

「このような事例はフィリピンのスタートアップ業界にとって良い宣伝になります。世界中の投資家に、フィリピンで何が起きているかについてのヒントを与えてくれる」と、フィリピン初の保険アグリゲータであるMaria Healthの創設者であるLau氏は述べています。

Lau氏は、特にフィリピンの政治情勢の影響で外国人投資家が取引から手を引くケースに遭遇してきました。
「国際社会に対するフィリピンのイメージはポジティブなものではありません。大統領の発言や、潜在的な不安定さへの懸念から、投資家が手を引いたケースもありました」とLau氏。

しかし、投資家は徐々にフィリピンに対していい印象を持ち始めています。
2019年には3つのベンチャーキャピタルファンドが設立され、そのうちの2つはフィリピン最大の財閥系企業が主導しています。

また、Kickstart Venturesが1億5000万ドル相当のAyala Corporation Technology Innovation Venture Fundを立ち上げました。

その一週間後には、小売、食品、航空会社に出資しているフィリピン最大級のコングロマリットのJGサミット・ホールディングスが5,000万ドルのベンチャーキャピタルファンドを立ち上げました。

Kickstart VenturesとJGサミット・ホールディングスは、ファンド設立前から現地のスタートアップに投資していましたが、この大型ファンドの創設は、スタートアップコミュニティが長年求めてきた国内最大手の企業が正式に参加したことを意味しています。

Navarrete氏は「この動きは、大手企業が本気を出しているというサインです。今の課題は、投資可能なスタートアップ企業を探すことです」と述べています。

政策面では、政府が2018年4月にイノベーティブ・スタートアップ法を制定し、テック系スタートアップへの支援を制度化したことで、エコシステムも変化しています。

事業許可申請への補助金、外国人がフィリピン国内でスタートアップ企業を設立するためのビザプログラム、さらには投資資金の提供などが定められています。

その中でも最も影響力のある規定の一つがスタートアップ・ベンチャー・ファンドの設立であり、これは選ばれた投資家が国内のスタートアップ企業への投資をマッチングさせることを目的としています。
これは、様々な機関を通じて国に長期的なリターンを約束するシンガポールの長期的な国営投資に似ています。

現在はとても静かなフィリピンのスタートアップシーンではありますが、今後は環境が整備され、フィリピン発のスタートアップが世界に通用する企業/サービスになる日が来ることを願っています。
これからがとても楽しみです!

今回は以上です!

【参考】
asiaone.com

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