コロナウイルスの流行が原因で、PSEi(フィリピン総合指数)が歴史的な下落を記録し、2020年はフィリピンの株式市場にとってかなりチャレンジングな一年となりました。
PSEiが2020年の初めに7,742から4,039の9年ぶりの安値に転落し、株式市場は2020年3月に47%もの損失を出しました。
不確実な状況が長引いたに関わらず、損失の80%を回復してPSEiは7,122で2020年を終えました。
コロナ危機自体が終息するまでには時間がかかるかもしれませんが、来年の景気回復に向けて株式市場は悪くない動きを見せました。
そんな中2020年に株価の値上がり率を誇った会社はどこなのでしょうか?また、その会社は2021年も引き続き注目する価値がある銘柄なのでしょうか?
この記事では、2020年の株式市場の覇者TOP5をご紹介します!
1. MerryMart Consumer Corp
年初比:+441%
MerryMart Consumer Corpは、スーパーマーケットを展開している会社です。食料品、パック食品、野菜、果物、魚、肉、医薬品、パーソナルケア、その他関連商品などの消費財を販売しています。
2020年6月に市場不況の恐れが広まっていましたが、最も成功した新規株式公開(IPO)となりました。1ペソの公募価格から670%も上昇し、年初来高値は1株当たり6.70ペソとなりました。
今年1~9ヶ月間の売上は前年同期の19億ペソから28.3%増の24億ペソとなりました。売上の増加に伴い、売上総利益率は大幅に改善し、4.6%から8.8%へとほぼ倍増しました。また、純利益も1,150万ペソから26.4%増の1,450万ペソという結果を残しました。
積極的な店舗展開はもちろんのこと、18店舗のフル稼働により、2021年は純利益をさらに伸ばすことができると予想されます。MerryMartは店舗数を拡大し、2021年末までに100店舗という目標を掲げています。
2. AC Energy Philippines, Inc
年初比:+250%
AC Energy Philippinesは、アヤラグループが電力関連プロジェクトのためにPhinma Energyの過半数の株を取得した際に裏で上場したエネルギー関連の会社です。
新株式の引き受けにより、アヤラグループの同社に対する持株比率は68%から82.6%に増加しました。AC Energy Philippinesによる電力関連企業の買収により、2020年の最初の9ヶ月間の総生産量は853GWhから1,610GWhへと倍増しました。
この生産量の増加により、2億8000万ペソの赤字から2020年は29億ペソに黒字化しました。
最新の財務情報に基づいて算出すると、EV/EBITDA倍率は21倍となり、一般的な水準である8倍~10倍に対して高いものになっています。年率換算しても、16倍と非常に高い水準を叩き出しています。
AC Energy Philippinesは、現在の株価から68%ディスカウントされた1株当たり2.37ペソの募集価格で22.7億株の新株予約権発行を実施することで、54億ペソの新規資金調達を計画しています。
3. MRC Allied, Inc.
年初比:+204.8%
MRC Allied, Inc.は、フィリピンで不動産開発、鉱山探査、再生可能エネルギー発電事業などを保有する持株会社です。
堅調な収益が得られないため、2010年以降の10年間ほとんどの年で赤字が続いています。2013年のマイナス1億3800万ペソから2019年は6億4800万ペソの赤字に膨れ上がっています。
株式は2018年にP0.94の歴史的高値から2019年3月に一株当たりP0.105の安値まで下落していますが、それ以来、2020年12月には一株当たりP0.72の高値まで回復しています。
この上昇は、急成長中のテクノロジーソリューションプロバイダー・SG Securityと提携し、サイバーセキュリティサービス企業であるKerberus Corporationの過半数の支配権を取得すると発表したことによるものと考えられます。
MRCの現金はわずか1億9000万ペソ、負債総額は9億3400万ペソであることを考えると、同社を買収するためには、今後3ヶ月の間に資金調達をしなければいけません。
4. Apollo Global Capital, Inc
年初比:+197.6%
Apollo Global Capital, Inc.は、以前はYehey!という会社で、持ち株会社化される前は、以前ネット広告サービスを提供するインターネット企業でした。
2016年10月に社名の変更とデジタルマーケティング業務の終了を正式に発表しました。
現在Apollo Global Capitaは、33億ペソと評価された鉱山資産を持ち、負債、27億ペソの株主資本を持つ、強固な会社となっています。
Choi Gardenのオーナーで起業家でもあるFrank Lao氏と提携し、1日あたり1万トンの採掘ができる深海採掘船2隻を提供してもらっており、カガヤン沖の海底で磁鉄鉱の採掘を間もなく開始すると発表しました。
磁鉄鉱石は、コンクリートや鉄鋼製品、磁石、塗料、インク、紙、宝石、化粧品などの製造に添加剤として使用されています。世界の総鉄鉱石の輸入の約70%を占める中国に大きな需要を秘めています。
1日1万トンを生産し、1トンあたり90ドルで販売していると仮定すると、同社の年間売上高は160億ペソと大雑把に見積もることができます。
5. Premiere Horizon Alliance Corporation
年初比:+194.1%
Premiere Horizon Alliance Corporationは主に鉱業関連サービスを手掛ける投資会社です。
同社の売上は2015年の8億8200万ペソから2019年には4億2300万ペソに減少しています。Premiere Horizon Allianceは、2020年の最初の9ヶ月間の売上が4億4200万ペソから3億0600万ペソへと30%減少したことを報告しました。
2020年9月時点で、約15億ペソの負債を抱えており、これは株主資本の3倍に相当します。
しかし、株価は2020年10月から上昇を続けており、1株当たりの安値P0.217から高値P1.25まで上昇しています。
株価が上昇したのは、Marvin Dela Cruz氏が率いる投資家グループが参入したことによるものです。
この取引によると、投資家は最初に3億ペソの現金を投入し、残りの6億2500万ペソを2年以内に投資家が所有するSquidpay Technologyの株式で支払う予定になっています。出資を完了した時点で、Squidpay TechnologyをPremiere Horizon Allianceの子会社化をすることを目指しています。
もしこの取引が成功すれば、新しいオーナーが主導権を握ることになるため、何らかのリストラが行われ、負債を抱えたまま鉱山資産を売却することになるのではないかと推測することができます。
【参考】
esquiremag.ph