シンガポールの多通貨対応のe-wallet「YouTrip」は、東南アジアでの事業拡大のためにVisaと6年間の提携を結んだことを発表しました。
2018年にシンガポールで、その後2019年にタイで開始されたYouTripは、これまでのアプリのダウンロード数は100万を突破しています。
今回のVISAとの提携に関する発表は、オンラインバンキングの顧客数が1390万人を超えるタイ最大級の銀行であるKasikornbankと提携し、YouTripが初めてタイに地域展開してからわずか1年後のことです。成長スピードの速さが伺えます。
昨今、フィンテック企業は国をまたぐのeコマースの取引における決済に注力しており、昨年の同時期と比較して四半期ごとの取引が約3倍増加しました。
また、アジア太平洋地域には、2030年までに合計で5億4100万人の観光客が訪れると予測されています。
東南アジアの消費者はデジタル決済を強く好む傾向にあり、VisaのConsumer Payment Attitudesの調査によると、消費者の約70%が今後12ヶ月の間でキャッシュレス決済を利用すると予想しています。
世界の他の地域の旅行とは異なり、東南アジア内での旅行は多通貨での支払いが必要になってきます。YouTripは提供しているサービスを通して、「国ごとに違う通貨に両替し、支払いを行う」という煩わしさを解決することを目指しています。
世界に約7000万の加盟店を持つVisaのグローバルネットワークを活用し、YouTripは東南アジアへの旅行者が150以上の通貨における取引を、外貨取引手数料を無料にした形で支払いができるようになります。
YouTripは、次の潜在的な市場としてマレーシアとフィリピンを視野に入れており、今後半年から1年をかけて市場に参入する予定です。この2つの市場は、2021年にはマレーシアとフィリピンからの海外旅行支出がそれぞれ124億米ドルと120億米ドルに達すると予想されており、未開拓の巨大な可能性を秘めています。
さらに、マレーシアとフィリピンは、モバイル決済の普及率がそれぞれ17%から40%へ、14%から45%へと、東南アジアの中で最も急速に成長している国の一つです。
YouTripの共同創業者兼CEOであるCaecilia Chu氏は、「Visaとの提携により、次世代の越境決済イノベーションを推進するための継続的な成長が可能になります」と述べています。
「2年という短いスパンで、私たちはYouTripをシンガポールとタイの両方で主要な多通貨対応のe-walletとして確立しました。この強固な基盤をもとに、市場で勝ち抜いてきた専門知識とVisaの革新的な決済技術をマレーシアとフィリピンを皮切りに東南アジアの他の地域にも展開していきたいと考えています」とYouTripの地域統括マネージャーであるKelvin Lam氏は付け加えています。
▼参考
・https://www.techinasia.com/singapore-ewallet-youtrip-partners-visa
・gadgetsmagazine.com.ph