フィリピンでは最近、多くのオンラインショッピングサービスが流行り始めてきました。
僕も最近よくLazadaで買い物をします。(主にGlobeのチャージ)
華やかに宣伝し、多くのユーザーを集めているeコマースサービスですが、まだまだフィリピンでは理想の姿にはなっていない状態となっています。
フィリピンのような新興市場では、「オンライン」であることは、単にデジタルプレゼンスが高まってくれば実現できる訳ではありません。
eコマースを可能にするデジタル化以外の要因も大事で、そこには各国ユニークな背景があると言えます。
フィリピンの多くの地域、特に農村部では、インフラが依然として問題となっています。インターネットサービスの不備はさておき、物流会社にとって、整備されていない道路/交通状況は痛手となっています。また、都市部以外の地域では、配送サービスは依然として高価で、オンラインで購入した商品の合計金額の10%ものコストがかかることもあります。
eコマースのプラットフォームやスタートアップは、ピックアップポイントを設置してこの問題を解決しています。オンラインで注文した商品を取りに行けるモールやコンビニなどに設置するケースが多くあります。
例をみていきましょう。
フィリピンのeコマースビジネスモデル例
1. セブンイレブン
国内最大のコンビニエンスストアであるセブンイレブンの一部は、「CLiQQ」というブランド名のPOSカウンターを設置しています。
当初は電気料金から航空券までのオンラインでの支払いを目的としていたが、最終的には靴下や化粧品など、コンビニにはない商品を購入できるeコマースサービスへと成長しました。商品は注文後、数日以内に支店に出荷され、顧客が受け取ることができるようになっています。
出典:ABS-CBN News
2. Posible.net
デジタルサービスのアグリゲータであるPosible.netは、Posibleのアプリを利用して、近所のサリサリストア(フィリピンの小規模小売店の総称)自体を「モール」にすることも可能にしています。今までになかった革新的な取り組みですよね。
このプラットフォームも当初、決済サービスのために開発されましたが、立ち上げから2年後、CEOのJG Puzon氏が「エージェント支援型eコマース」という別の可能性を見出しました。
現在、PosibleのECコマースサイトでは、パーソナルケア製品から小さな家具や家電製品まで、ユーザーは何でも注文することができます。興味深いことに、プラットフォームを通じて最も注文されているアイテムの一つは、モノブロックチェア(プラスチック製の普通の椅子)です。「これらはモールの近くに位置するお客様からの注文です。彼らは買いにいく手間をかけたくないし、大きな商品を持ち歩きたくないのです」とPuzon氏は言います。
出典:EXPATCH
これからのフィリピンのeコマース
どちらの場合も、コストがかかりすぎて手が届かない家庭に注文を届ける代わりに、ECサイトでは、田舎町のよりアクセスしやすいエリアにある店舗に配達することによって、ユーザーに商品を届けています。
調査によると、多くのフィリピン人はオンラインで販売されている商品の正当性を疑っています。国内最大のオンラインショッピングプラットフォームであるShopeeとLazadaでさえ、ユーザーが正規商品と非正規商品を見分けるため、「モール」という機能をつけています。
Posibleのようなサービスは、地元のサリサリストアのおじさんのような信頼できる人が取引を促進するため、フィリピン人のオンラインサービスに抱く疑念をなんとか和らげることができるという意味でも、フィリピンのマーケットに合ったビジネスモデルと言えると思います。
これらのサービスでは、アイテムはオフラインで支払われるため、「利便性と信頼性のEC」という前提に矛盾していると捉えることもできます。しかしフィリピンでは、多くの新興デジタル市場と同様に、取引が行われたことを保証するためには、施設であろうと個人であろうと「信頼できる人」の存在が必要とされています。これは、フィリピン中央銀行の調査結果を反映したもので、フィリピンのインターネットユーザーの大半は電子財布のことを認知しているのにもかかわらず、安全性やセキュリティへの懸念から、未だに電子財布を利用していません。
フィリピンのような国では当面の間、ハイブリッド・コマース、つまりオフラインのサービスに依存した電子商取引が主流になると予想しています。
市場がeコマースに完全適応するためには、インフラなどの物理的な要素が重要となります。
オンラインショッピング時代に大きな存在感を発揮したいブランドは、この流れをいち早く踏んでフィリピンのマーケットに勝負する必要がありそうです。
【参考】
Tech in Asia
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